家庭料理の定番メニューのひとつ「カレーライス」。戦後、家庭でも使いやすいルウが登場したことにより、老若男女に愛される食べ物として日本では不動の地位を築いています。また、具は1・2種類でもOKだったり、余った食材を有効利用できたりといった“お金をかけずに作れる”点も魅力とされているのではないでしょうか。
そんな“節約メニュー”としても重宝されてきたカレーですが、近年の物価高の影響で「家庭における1食分のカレーライス」にかかる調理費用が過去最高値を更新したのです。2024年8月に帝国データバンクが算出した「カレーライス物価指数」調査(2024年6月)を見ていきましょう。
☆☆☆☆
【2024年6月は過去最高値! 1食329円】
カレーライス1食当たりのトータルコストを示す物価指数では、調理に必要な原材料や光熱費等の全国平均の価格を基に算出。結果を見ると、2024年6月にカレー物価指数は329円に。2023年8月以降11カ月連続で300 円台となり、さらに単月で2015年以降で最高値を更新。1年前の2023年6月(299 円)から 10%も値上がりしています。
【要因は具材と米の価格高騰】
カレーライス物価を構成する費用の内訳で、最も高いのが全体の約6割を占める「カレー具材(肉・野菜)」。円安の影響により輸入牛肉の価格が上昇したことに加え、野菜類も前年同月からキロあたり各100円超の値上がりとなったことが影響。前年同月と比べると20円増の203円でした。また、品不足が懸念された「ごはん(ライス)」の価格が急上昇したことも要因に。1食当たり97円で、前年同月から8円増加しています。
【ルーや光熱費の価格に変化なし】
一方で「カレールー」(24 円→25 円)、炊飯やガス調理などの「水道光熱費」(4 円→4円)は前年同月から大幅な変化はありませんでした。
☆☆☆☆
カレーライス物価を基に、2020 年平均を100とした帝国データバンクによる独自算出の「カレーライス物価指数」をみると、2024年6月の指数は120.0、前年同月比では 9.8%上昇。13か月連続のプラスとなっています。調理費用はコロナ禍以降で約2割上昇。「手軽」というイメージが強いカレーライスも、物価上昇の影響を強く受けていることが分かりました。
(取材・文=濱田象太郎)
※ラジオ関西『Clip』2024年8月20日放送回より