女子サッカー・WEリーグに所属するINAC神戸レオネッサの安本卓史社長がラジオ番組にゲスト出演。新シーズン始動直後に行ったアメリカ遠征を振り返り、現地で感じた女子サッカーの環境やレベルの高さ、クラブが遠征で得た収穫などについて語りました。
8月中旬にアメリカ・カンザスシティ(ミズーリ州)で行われた「The Woman's Cup 2024」に出場したINAC神戸。現地時間14日の初戦ではスペインのアトレティコ・マドリード・フェメニーノに1-1と引き分けるも、PK戦で敗退。同17日の3位決定戦では、マメロディ・サンダウンズ(南アフリカ)と対戦し、2-0と勝利。1勝1敗(PK負け)で、4チーム中3位という成績に終わりました。
今回の遠征では、まず現地カンザスシティの女子サッカーの環境に驚いたという、安本社長。
舞台となったアメリカの女子サッカーリーグNWSLに所属するカンザスシティ(KC)カレントのホームスタジアムであるCPKCスタジアムは、今年オープンしたばかりの、アメリカ初となる女子サッカー専用スタジアム。コンパクトで臨場感があり、座席の種類やVIPルームなど諸室も充実しているところに、安本社長は感銘を受けたようで、「(将来的に)新スタのモデルにしたいと決めた」と話していました。
また、大会期間中に行われた子ども向けのサッカースクールでの指導の様子では、「低学年のスクールでは(子ども)3~4人につき、1人のコーチがついて指導するなど、子どものときに手厚く教えている。また、サッカーの本質である得点を取ることについて、幼少期からすごく教えているのを見たとき、(日本とは)サッカー文化が全然違うんだなと思った」と、育成の重要性を再認識したそう。
さらに、同大会で優勝したKCカレントの戦いぶりを通して、パリ五輪で金メダルを獲得したアメリカの女子サッカーの強さも実感。「ホームアドバンテージがあるとはいえ(決勝では)アトレティコ・マドリード・フェメニーノを圧倒。6番の選手(マラウイ女子代表FWテムワ・チャウィンガ選手)を中心に前に圧をかけて、あのスペインのチームも手こずるような戦いを見せていた。あれは、今まで感じたことのないような圧。そんなチームが(アメリカに)いっぱいあるんだなと思うと、日本に帰ってからこういうことを伝えなければいけないと思った」。
アメリカのクラブチームのすごさを体感したことで、パリ五輪準々決勝アメリカ戦のなでしこジャパン(日本女子代表)の守備に枚数をかける戦術についても、安本社長は「池田太監督も(勝つためには)あれしか取らざるを得なかったのかな。この戦い方しかいま日本はできないんだな」と改めて理解したといいます。
これについて、元なでしこジャパンDFで、ラジオ番組『カンピオーネ!レオネッサ!!』(ラジオ関西)パーソナリティーの川上直子氏も共感。アメリカ戦でのなでしこについて、「今のメンツと、世界がちょっと上にいっている状況をみると、あの戦い方しかできないし、ショートカウンター(でゴールを狙うこと)が最適だったのかなと思う。まだやっぱり日本のレベルは世界とは差がある」と、日本と欧米との女子サッカーの実力差を感じているようでした。
安本社長はさらに、KCカレントの縦への迫力あるスピードに驚愕。そのうえで、「(日本では)まずは守りからというが、たぶん海外は違う。どうやって点を取るかのことから(試合を)進める。そこを(INACの)選手たちは感じ取ってくれた。これがすごく大きいと思う」と、今回のアメリカ遠征の収穫を口にしていました。