また、城崎国際アートセンター(豊岡市城崎町)では、タイの新世代振付家コーンカーン・ルーンサワーンによる拡張現実(AR)・仮想現実(VR)を融合した観客参加型のダンス公演が行われる。タイの古典舞踊と最新機器が織りなす新感覚の舞台だ。
「タイでは、神に願い事をするときに踊りを捧げる。その伝統とテクノロジーを融合させたパフォーマンスで、難しそうに聞こえますがどなたにでも楽しんでもらえます。上演期間はタイカレーが食べられるKIAC食堂も出店予定です」(平田さん)
会期半ばの週末は、ストリートプログラム(大道芸)やフリンジ公演も盛んだ。城崎文学館(豊岡市城崎町)でダンス公演が楽しめるほか、ホテル金波楼(豊岡市瀬戸)では、原田大二郎と佐藤正治による『朗読とパーカッションの新世界~城の﨑の先~』が行われる。
豊岡市但東町では、毎年恒例になりつつある、地元住民とともに作りあげるオリジナル神楽『但東さいさい』が、日出神社(但東町畑山)で開催される。同演目は但東町を構成する3つの集落を1年ごとに巡回しており、今では、これまでに参加した中学生が指導役にまわっているそう。
3週目は、演劇祭のラストスパート。豊岡市民プラザで開催される『島ゞノ舞ゝゝ』(しまじまのまいまいまい)は、東京パラリンピック開会式でソロダンサーとして出演した森田かずよが率いるダンスカンパニー「Mi-Mi-Bi」の新作公演。
社会や暮らしのなかに障害を覚える身体のパフォーマーらで構成されるダンスは、まさにカンパニー名である「未だ見たことのない美しさ」を体現したもの。
「2022年フリンジセレクションで発表された作品を拝見して感動して、今回、公式にオファーさせていただきました。コンテンポラリーダンスの可能性をぜひ、見ていただきたい」(松岡さん)
今年から参加する朝来市では、あさご芸術の森美術館(朝来市)が主催するイベント『観月の夕べ』とのコラボレーションで2演目を楽しむことができる。
大千秋楽は、養父市で行われる、コンテンポラリーダンスユニット「んまつーポス」と香港のダンスカンパニー「Unlock Dancing Plaza」が共創した『キリギリスとアリ』。「んまつーポス」は宮崎県を拠点に教育とダンスのコラボレーションに取り組んでいる団体で、事前に学校訪問や市民参加のワークショップを行う予定だ。今回は、大人も子どもも楽しめるダンス作品で演劇祭を締めくくる。