「食べ物が付着したフタを見ると何となくストレスを感じてしまう」という人は多いのではないでしょうか。そんな代表格が、ヨーグルトのフタ。一昔前までは開封するとヨーグルトが付いているのを見かけましたが、最近はほとんど見なくなりました。というのも近年になって内容物が引っ付かないようフタ側に工夫がなされるようになっているのだそうです。森永乳業株式会社に話を聞きました。
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同社ではフタにヨーグルトが付いてしまう事が長年の課題だったのだそう。特にフルーツヨーグルトはやわらかく、フタ裏にヨーグルトが付着しがちでした。購入者からは「開封時に蓋についたヨーグルトが⼿についてしまう」「⾷後にごみを捨てる際、洗うのが⾯倒」「もったいない」などの声も多く、これらを克服するため業界に先駆けて撥⽔加⼯されたフタ材の開発に着手することになったのだとか。
「当たり前の話ですが、フタは容器にくっついて初めてその役割を果たせます。実は、『フタがカップに接着し密封する』という本来のフタの機能と『ヨーグルトをはじく』というのは正反対の役割なのです。この事象の両立を実現のに苦労を重ねました。フタに撥水加工を施すよってフタとカップの接着性が変わります。そのため製造工程で蓋とカップを接着する際に加える熱や圧力等の調整をはじめ、フタに使用する接着剤の選定が大変でした」(担当者)
「引っ付くこと」と「付着させない」という正反対の役割をクリアするフタの実用化には、約1年の期間がかかったそうです。
ヨーグルトはじくための技術はどのようにして生まれたのか。これは植物の“葉っぱ”からヒントを得て開発されました。「資材を開発した東洋アルミニウム株式会社が、工場に隣接した沼に自生していた蓮の葉の撥水性を見て開発のヒント得たと聞いています」と担当者。
蓮の葉を拡大して見てみると、表面が小さなデコボコ構造になっています。その小さなデコボコが水をはじき、葉の表面についた水はコロコロと丸まった水滴になり濡れることがないなのだそう。そうして2010年2月、新開発されたフタは森永アロエヨーグルトの期間限定商品で初の導入。ストレスフリーなヨーグルトのフタが誕生しました。
導入されて以降は購入者から「ストレスフリーになってよい」「ごみを分別する際に洗わなくてよいので嬉しい」などの声が多くなると共に、「子どもの夏休みの自由研究テーマにしたい」「学校の授業で使いたい」などといった声も寄せられるようになったそうです。現在、同社製品では「ビヒダス ヨーグルト 4ポット」シリーズなどで採用されています。
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何かの問題の解決は“蓮の葉っぱ”の様に何気ない事からヒントが見つかるかも知れませんね。
※ラジオ関西『clip火曜日』2024年10月1日放送より