1945年にブラジル、リオ・デ・ジャネイロのコパカバーナビーチで誕生したスポーツ、「フレスコボール」が、いま、兵庫県明石市で注目を集めています。競技の日本での状況、醍醐味、明石で脚光を浴びる理由について、自身も現役日本代表として活躍する一般社団法人日本フレスコボール協会ディレクターの山下祥さんに、話を聞きました。
7メートル離れた2人のペアがラケットを持ってゴムボールを打ち合う競技、フレスコボール。このスポーツの最大の特長は、目の前の相手を打ち負かすのではなく、力を合わせて何回ラリーを継続できるかというところ。相手が打ちやすい場所にボールを運ぶことが得点を稼ぐカギとなるため、「思いやりのスポーツ」ともいわれています。
フレスコボールは、80か国以上、約70万人がプレイしており、日本では6000人が競技に打ち込んでいます。プレイヤーについて、「老若男女、誰でも楽しむことができる。例えば、おじいちゃんと孫、中学生と30歳など、ペアのバリエーションが無限大。相手の取りやすいところにボールを返すということで、車いすの方もいらっしゃる」と、山下さん。基本的には2人で行いますが、V字型になって3人でラリーを続ける“トリンカ”(ポルトガル語で3人組という意味)という形式もあるそうです。
では、なぜ明石で人気が向上しているのでしょうか? 山下さんによると、ポイントとなるのは「環境」。フレスコボールが盛んに行われている明石市の大蔵海岸(JR朝霧駅前)の特性とも関係しているようです。
「日照時間が長く、降雨が少ないというのはもちろんのこと、大蔵海岸は景色がとても良いんです。砂はオーストラリアのゴールドコーストのものを使用しているため、真っ白で柔らかくサラサラです。様々な条件が整っているということもあって、日本一の聖地となっています」(山下さん)
明石では2020年から毎年、全国大会も開催。今年は6月1日と2日の2日間、歴代最多の109組が出場したなかで、熱戦が繰り広げられました。
ちなみに、フレスコボールでの出会いがきっかけで結婚するカップルも多いそうで、通称「フレス婚」と呼ばれています。コミュニティー作りにも大きく貢献しているスポーツです。
日本でのフレスコボールの今後について、山下さんは「2025年までに47都道府県でクラブを作りたい。その先には、オリンピック競技として注目を集め、仲間としても活躍してもらいたいという目標があります。趣味がなかったり、社会に生きづらさを感じていたりする人にも、フレスコボールを通じて元気になってもらいたい」と力強く意気込みを述べていました。
なお、兵庫県内では、10月5日(土)と6日(日)に神戸市須磨区の須磨海岸で行われる「ジャパンビーチゲームズ須磨2024」でフレスコボールのトリンカ&スピードガンマッチが行われます。そして、11月2日(土)~4日(月・祝)の3日間、「フレスコボールジャパンオープン2024」が県内で開催予定となっています(※現時点で会場は未確定、9月に千葉で予定されていた大会の代替開催)。この機会にビーチでフレスコボールの魅力を感じてみたいものですね!
(取材・文=長塚花佳)
※ラジオ関西『Clip』水曜日より
(2024年10月2日放送回)