絶対音感のファゴット奏者 「現代音楽を身近に感じて」 焙煎コーヒーのカフェ運営からバスツアーまで | ラジトピ ラジオ関西トピックス

絶対音感のファゴット奏者 「現代音楽を身近に感じて」 焙煎コーヒーのカフェ運営からバスツアーまで

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 平田オリザさん(劇作家・演出家)のラジオ番組(ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』)に、ファゴット奏者の久保田ひかりさんが出演。クラッシック音楽を身近に感じてもらうためのさまざまな取り組みについて語った。

ファゴット奏者の久保田ひかりさん(写真中央)、番組パーソナリティーの平田オリザ(同右)、田名部真理(同左)

 久保田さんが所属する楽団「『クレモナ』モダンタンゴラボラトリー」は、2016年に結成された女性4人で構成される新しいスタイルの木管四重奏団(フルート・ソプラノサックス・ホルン・ファゴット)だ。

 アルゼンチン出身の作曲家アストル・ピアソラによる、タンゴにクラシックやジャスの要素を融合させた楽曲を演奏し、重層的なサウンドとアレンジが光るアドリブ・ソロで観客を魅了。国内の室内楽コンクールも多数受賞する実力派アンサンブルとして知られる。

 大学卒業後、難聴を理由にオーケストラを断念した久保田さん。しかし、「音楽を続けたい」という思いから同楽団を立ち上げた。作曲家・ピアソラへも熱い思いを抱いており、このように語った。

「ピアソラは、『20世紀の音楽に革命を起こしたい!』と奮闘した音楽家。だから、タンゴといっても変拍子なので踊れない(笑)。でも、ピアソラは『Nuevo Tango(新しいタンゴ)』と言いきった。我々はそんな彼の意思を継ぎ、21世紀の音楽シーンを盛り上げようと、すべての楽譜を自分たちでアレンジし、暗譜で演奏しています」(久保田さん)

『クレモナ』モダンタンゴラボラトリー

 同楽団の演奏活動もユニークだ。シンフォニーホールなどの大ホールはもちろん、喫茶店や服部緑地野外音楽堂(大阪府豊中市)など、演奏する場所は多岐にわたる。

 大阪府池田市でカフェも運営しており、焙煎士の資格をもつ久保田さんが絶対音感を駆使して焙煎するコーヒー目当てに訪れる客も多い。公演前には、カフェで公開稽古の披露・配信も行う。すべては、「クラシックを身近に感じてほしい」という思いからだ。

 放送では、平田さんが“現代音楽の難解さ”を吐露する場面もみられた。

「僕も現代音楽のオペラを演出したりするんですけど、現代音楽は難しい。楽譜に『ガムテープをはがす』なんて書いてあって、どうしよう……となるんですが(苦笑)。僕のような素人が聴いても素晴らしい演奏だと感動します。途中から『ああ、こうなるのか』という」(平田さん)

 平田さんの言葉に、久保田さんもこのように応じた。

「私も、大学では(現代音楽が)苦手でした。ドビュッシー、ラベル以降の現代音楽は、“わからなくすること”に冥利があるというか。でも、ピアソラ(の楽曲に)は旋律があってリズムがあって和声がある。大衆性におもねるわけではありませんが、理解できる範囲でエンタメ性もあるので楽しんでいただけるのでは」(久保田さん)

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