特定抗争指定暴力団「六代目山口組」の中核組織「弘道会」の神戸市内にある施設前で2019年、弘道会系組員が銃撃された事件で、殺人未遂と銃刀法違反の罪に問われた「山健組」組長・中田浩司被告(65)の裁判員裁判が8日、神戸地裁で始まった。
中田被告は「全て間違っている。私は犯人ではない」と起訴内容を全面的に否認した。争点は犯人性の有無。判決は10月31日。
山健組は、2015年8月の山口組分裂で結成された特定抗争指定暴力団「神戸山口組」の中核団体だったが、のちに組長ら一部が六代目山口組に復帰した経緯がある。
検察側は、犯行後バイクで逃走する姿を映した防犯カメラの映像などから、中田被告を実行役として特定した。
また、中田被告が自動装填式拳銃(トカレフ)から発射したとされる弾丸と弾痕が一致し、犯行現場に薬きょうが6個あったことなど、暴力団特有の抗争事件という構図のもと、総合的な観点で判断したと述べた。
一方弁護側は、間接的な証拠の積み上げに過ぎず、中田被告を犯人とする直接証拠はないと主張。「犯人は本当に中田被告なのか、なぜそこまで言い切れるのか」と反論した。