ある日、畑の近くを歩いていると、なにかがぶら下がっている……。鳥の形をしているけど、羽ばたいている姿やなくて、羽を閉じたままプラァ〜とぶら下がっているんです。
正直、あまり気持ちの良いもんではないような不気味な感じ。「黒い鳥やからカラスかな?」と思わせるような物体が、畑に何体かぶら下がっているんです。
首あたりから羽を閉じたままぶら下がっているものもあれば……。うわぁ、逆さになってるやん! しっぽからぶら下げられているもんもあります……。なんかこわい!
「これは一体なんやろか?」と思い、畑で作業をしているおっちゃんに聞いてみましたら、「ああ、これはカラス避けや。いわゆるカカシや」と言うんです。
防鳥具というといろいろあって、キラキラ光るテープや作物全体に被せる網、大きな鳥の形をした凧が風で羽ばたくなどでビビらせるというのは知ってますけど……。
こんな、不気味にプラァ〜とぶら下がっているもんでカラス避けになるのかと疑問に思ったのですが、おっちゃんいわく、「うちでは効果あるで」とのこと。
詳しく聞いてみますと、このカラス避けは大昔から存在するのだそう。その昔は、本当のカラスを捕まえてぶら下げたりくくりつけたりして、「畑荒らししたらこうなるんや!」とカラスたちに見せつけていました。
すると、カラスは頭が良いので「ここに近寄ったらあんなことされる!」と思いこわがって近づかんようになるんです。つまり、見せしめによる“いけにえ”防鳥対策をしていたそうです。
現在は、鳥獣保護管理法により禁止されているため、野生のカラスを捕まえたり殺生をしたりしてはいけません。そのため、この人形のようにカラスの代わりにぶら下げてビビらせる商品がいろいろとあるそう。メーカーに聞くと、もっとリアルな黒い毛が全身についたカラスの人形もあるのだとか。