買い物の際にさまざまな“還元”を得られる「ポイントカード」。スーパーやドラッグストアをはじめ、家電量販店・航空会社まで様々なシーンでポイントを貯めて利用している人も多いのでは。さて、このポイントカードいつごろから普及したのでしょうか? 誕生のきっかけや歴史を追ってみました。
☆☆☆☆
【発祥はアメリカ。業者の誤発注がきっかけ】
発祥は1850年ごろアメリカだそう。手違いで洗濯石鹸を大量に仕入れてしまった業者が包装紙にクーポン券を張り付け、それをためると「絵画に交換できる」と触れ込んだのが始まりとされています。そこからアメリカではスタンプをためると商品と交換できるサービスが見られるようになったのだとか。1910年代初めにはガソリンスタンド、1920年代にはスーパーマーケットを中心に導入が広がっていきました。
【日本で初めて実施したのは北九州市の呉服店】
日本でのポイント発行は1916年ごろに北九州市の呉服店が始めたとされていますが、今も詳しい事は分かっていないそう。1928年には江崎グリコが菓子箱の中の引換券を同封し、20枚集めると景品がもらえるサービスを開始しました。
【日本でポイント文化が本格的に普及したのは1980年代】
1984年にANAがマイレージカードを発行。1985年にはヨドバシカメラから値引き交渉を減らす目的に、流通業界で初めてポイントカードが発行されました。各百貨店でも消費税導入への対応から割引が行われるカード発行が主流でした。というのもこの頃は、百貨店の景品表示法がポイント制を禁止していたためでした。96年の法改正で、百貨店でもポイント制が導入され始めました。
【1990年代初頭にはクレジットカードのポイント制度が広く普及】
1900年代後半にキャッシュカード、クレジットカードの普及が進んだ事で報酬プログラムの導入が徐々に浸透。1990年初頭にはほとんどのクレジットカード会社がポイント制度を導入し、当時はポイントを商品と交換するというシステムがほとんどでしたが「現金還元をする」というサービスが話題を呼びました。
さらにコンピューター技術の発展により、商品の販売時点での情報を取得・管理する仕組み(POS)とポイントカードを連動することで売れ筋商品の把握ができるようになった事からスタンプ方式から磁気方式のポイントカードへの移行が進みました。そうして商店街、ショッピングセンターなど多くの場所で現在のようなポイントカードが発行されるようになりました。
【2000年以降は電子マネーの浸透により豊富なポイント獲得システムが登場】
電子取引・電子マネーの拡大により、インターネットや携帯電話によるポイント発行が増加。現在では様々な形のポイントカードが登場するようになりました。
☆☆☆☆
2024年も終盤に差し掛かり、何かと出費が多くなる時期。これまでコツコツためたポイントを使ってみるのも良いかもしれません。
※ラジオ関西『Clip』2024年10月29日放送回より
※参考:ニッセイ基礎研究所資料