兵庫県知事選に立候補を表明している前知事の斎藤元彦氏(46)がこのほど記者会見し、選挙戦で訴える政策を発表した。これまでの知事としての実績を強調しながら、若者支援や行財政改革の方針を打ち出し、スローガン「兵庫の躍動を止めない」をくり返した。
会見冒頭で、斉藤氏は「県政を揺るがした文書問題、県議会からの不信任決議。皆様にご心配を掛けたことをおわびします」と県民に向けて謝罪。その上で、在職時に行った自身の給与・退職金カットや県庁舎建て替え計画の凍結などを挙げ、「改革に挑戦し続けてきた。結果、県の財政基金は30年ぶりに100億円を超えた」と実績をアピールした。
今後はこれまでの取り組みをベースに、▽県立大学の授業料無償化完了、▽クーラー設置など県立高校の環境整備、▽「ひょうごフィールドパビリオン」(2025年大阪・関西万博を機に展開する体験型観光事業)による国際交流・観光促進、▽AIカメラを活用した客引き防止対策強化、▽財政基金を200億円規模にアップ―などを進めたい考え。
また「3つの約束」として、(1)文書問題の真相解明と改善策の徹底、(2)県民や県職員・県議会との信頼関係の再構築、(3)未来に向けた県政改革を挙げた。
(1)については、現在継続中の百条委員会や第三者機関による調査に協力、公益通報窓口を外部化し、物品受領の厳格なルールづくりをしたいと表明。(2)については職員一人ひとりとの対話、議会各会派との丁寧な合意形成を図るとし、(3)に関しては、既得権益やしがらみから脱した行財政改革を進めると述べた。
知事在職中、神戸市中央区にある県庁舎1・2号館の建て替え計画について、コスト高を理由に凍結。新庁舎を建てずに跡地を緑地にする選択肢を示していた。その件については、「1000億円かけてやるという従前のプロジェクトでは理解は得られないものの、立て替えが必要という声は県議会、職員からも出ている。半分の500億程度の予算にして検討会で議論を進めたい。国の財源などを活用して費用を抑え、コンパクトでスリムな県庁舎を目指したい」と、建て替えに前向きな姿勢を示した。
10月31日告示、11月17日に投開票が行われる兵庫県知事選挙には、斎藤氏のほか、前兵庫県尼崎市長・稲村和美氏(51)、日本維新の会を離党した参議院議員・清水貴之氏(50)、共産党推薦の医師・大沢芳清氏(61)、会社経営・福本繁幸氏(58)、「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏(57)に加え、29日、新たに会社社長・木島洋嗣氏(49)が立候補を表明(いずれも無所属)。
一方、当初、出馬する意欲を示していた元経済産業省官僚・中村稔氏(62)と元兵庫県加西市長・中川暢三氏(68)は同日それぞれ会見を開き、立候補を取りやめたことを明らかにした。【10月30日午前現在】