訴状では選手会について、「セクハラやパワハラが横行している事実の把握を怠り続け、事件が発生した」などと指摘している。
さらに、セクハラ行為が起きた背景について、「選手として強ければ何をしても良いという空気が形成されていた。その他の選手は、こうした有力な選手の言うことに従うほかなかった」としている。
■性被害の申告、勇気とエネルギーが…
女性は提訴後、「被害申告するにも勇気がいる。裁判を起こすのも、とてもエネルギーがいる。しかも競輪選手としての道を諦める無念と悔しさもある。最大限のパフォーマンスを発揮できない精神状態になってしまったことが、競輪ファンの皆さんに申し訳なく、志半ばで引退を決意した」と話した。
そして、「競輪界では以前から有力な男性選手による支配的関係があり、パワハラやセクハラが横行していた。加害者(男性選手)は今ものうのうとレースに出ているのかと思うと、『見えないナイフで刺される』くらい苦しい気持ちだと涙ぐんだ。
また、提訴を決意した理由について、「ハラスメントやいじめをなくすために、誰かが声を上げないといけない。私が世の中にに訴えかけることで、こうした性被害を受けて“泣き寝入り”している人たちの背中を押すことができれば」と語った。
原告代理人の今西雄介弁護士は「選手会は競輪界の支配的な上下関係を理解しているはず。非常に閉鎖的な環境、しかも圧倒的に男性が多い社会で、女性に対する配慮や、ハラスメントへの意識が欠けている」と厳しく指摘した。
提訴を受け、一般社団法人・日本競輪選手会は、「今回の女性選手の件に関しては、これまで誠実に対応してきましたが、訴状はまだ届いておりませんので、内容が分からないため、コメントは差し控えさせていただきます」とコメントしている。
また男性選手に対して代理人弁護士を通じてコメントを求めたが、10月30日午後9時現在、回答はない。