赤ちゃんが生まれた家庭に育児用品を定期的に配達する、神戸市の新しい子育て支援「こべっこウェルカム定期便」の第1便が7日、市内の生後6か月男児の自宅に届けられた。同定期便は、子育て経験のある配達員が赤ちゃんのいる家庭を訪問、保護者に品物を渡すとともに、外出しにくく孤独感を抱えやすい保護者の話し相手となる目的で企画。市によると、先月28日からスタートした特設サイトへの申し込みは、すでに1000件を超えているという。
定期便は、今年4月以降に生まれた市内の赤ちゃんが対象。初回、誕生祝いのプレゼントとして、ベビー雑貨やおもちゃなど約120点の中から好きなものを選んで受け取れるほか、子どもが1歳6か月になる月末までおむつやミルクなどから選べる2~10回の「定期便」を無料で利用できる。子育て経験のあるスタッフが配達し、原則として同じ女性配達員が担当。品物を保護者に対面で渡し、その際に立ち話をする。困り事などがあった場合、必要に応じて市の担当課を紹介する。
同日午前、男児の家を訪問した配達員は、玄関先に出てきた母親(32)に笑顔で箱を手渡した。配達員が「何か心配なことはありますか」と尋ねると、母親は「子どもが風邪を引いたみたいで」と打ち明けた。配達員は「夜は眠れていますか。早く公園などに遊びに行けるようになったらいいですね」と励まし、「また月に1回プレゼントを届けます。(子どもに向かって)バイバーイ」と明るく声を掛けた。
母親は「赤ちゃんを育てていると、どうしても外に出るのが億劫になる。家族以外の大人の人と久しぶりに話せてうれしかった」と話した。
配達の前には、神戸市役所1号館正面玄関前で「出発式」が開催された。久元喜造・神戸市長は「3世代が同居していた時代は、自身の母や近所の人などに育児の相談ができたが、今は違うので、見守る施策を充実させていく必要があると考えた。たくさんの人に定期便を利用してもらい、経験豊かな配達員と気軽に話してほしい」と呼び掛けた。