――こだわった点は?
【坂野さん】「おもちゃらしく、かつAEDらしく」を実現するのに苦労しました。本来の目的である「AEDを学ぶ」ためにはリアルさが必要ですが、リアルすぎても子どもたちに楽しんでもらえないので、そこのバランスは最後までこだわった点です。
たとえば、流れる音声は本物とほとんど同じ内容ですが、声優さんに協力いただいてもっとポップな声にしています。また、本番さながらのイメージで遊べるように、ぬいぐるみや人形など、どんな素材にも張りつく素材を使って電極部分を再現しました。
ただ、私自身の本音としては正しく遊んでもらえなくても良くて。とりあえずボタンを連打してみたり、まずは、とにかく触れてもらうのが1番かなと思っています。
――今後の展開は?
【坂野さん】 おかげさまで、今回販売分の限定1000個は発売から1週間あまりで完売しました。これをきっかけにもっとたくさん作って、ゆくゆくはおままごとの定番の一つとして当たり前に遊んでもらえるようになれば、最初の目的であった「AEDを身近なものに」という未来も実現できると思っています。
その一環として、幼稚園や保育園に寄贈するプロジェクトも実施していて、まずは全国の保育施設に1台ずつ置いてもらうというのが目標です。
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公益財団法人日本AED財団によると、突然心停止となって倒れる人は1日に約250人。坂野さんも、「AEDを使う場面に遭遇するのは決して他人ごとではないんです」と強調します。AEDを世の中に広める新たな挑戦。今後の展開にも期待です。