【近藤】 コンビニで働きながら、曲も作っているということですか?
【斉藤】 そういうときもありましたね。1人で夜勤のときなんかにメロディーが浮かんだら、「トイレ行ってきます」ってフリをしてウォークインというペットボトルの裏に行って、ボイスメモで(録りました)。それでできた曲もあります。
【近藤】 コンビニだったら人の出入りも多いので、刺激もいっぱいあるじゃないですか。人の出会いとか、人間観察にもってこいですよね。
【斉藤】 しかも渋谷なんですよ、働いているところが。もともと東京に住んでいて、そのときに入った会社なんですけど、自分を拾ってもらった会社なので「拾ってくれた方がいる限りはやめない」と決めていて。
【タケモト】 律儀やなあ。
【斉藤】 いまは大宮からそんなに遠くなくて、1時間ちょっとで行けるので……。
【近藤】 遠いです。
【タケモト】 遠いな。
【斉藤】 あ、本当ですか。
【近藤】 ちゃんと遠いです。大宮にもコンビニはあるし。
【斉藤】 いや、コンビニをやりたいわけじゃないんです。ほんと、その人が会社にいる限りは(という気持ちで働いている)。
【近藤】 トミタさんに対しても、その律儀さが出ているんじゃないですか?
【トミタ】 その律儀さのおかげで、僕はいまここにいますから。
【近藤】「自分だけで出るのは申し訳ない」「ご紹介いただいたんだから一緒に」というのも、きっと常に縁とか人との繋がりを大事にされているからなんですね。
【斉藤】 ご縁があっていままでやらせてもらっているので。本当にそれに尽きますね。
【タケモト】 すごいですね。それをどれくらい続けてらっしゃるんですか?
【斉藤】 コンビニ店長になったのはここ3年くらいですけど、社員になってからは9年くらい経っています。それに、もともと高1からコンビニでバイトをしてたんです。
【タケモト】 へえ、すごいな!
【斉藤】 いろんなバイトをしましたし、大学を卒業したあと、はじめは地元のスーパーで会社員をしていました。
【近藤】 それでもやっぱり音楽は辞めたくなくて、二足のわらじというか二刀流でやってるということですよね。
【斉藤】 もちろん、音楽だけでという野心のバブルというか、そういう時代もありましたけども。
【タケモト】 いまのこのスタンスを続けていけたら、という感じなんですか?
【斉藤】 もちろん、自分の活動をもっといろんな人に知ってもらえたらうれしいと思いつつも、(音楽を)はじめた理由に「仕事を頑張っている人に頑張れソングを歌うんだったら、俺も頑張ろうかな」というのがあって。だから、俺も同じ会社員となって歌わないと自分の曲に説得力が出ないかなと思って。
【タケモト】 もう十分ですって! もう十分頑張ってる。
【斉藤】 同世代の人に負けたくないなと思って。
【近藤】 事務所には所属していないんですか?
【斉藤】 1回もしたことないです。もう、敗北の歴史で……。
【近藤】 敗北ちゃいますよ! 掲げたほうがいいですよ。“野良”ってことやん!
【タケモト】 私はDM(ダイレクトメッセージ)で仕事の依頼が来るタイプの、“野良DJ”を名乗らせていただいてまして……。
【トミタ】 私も野良です。
【近藤】 マジで?
【タケモト】 ブースの中、野良だらけですよ。
【近藤】 無法地帯やん! (私は)めちゃめちゃ飼い犬やから、ちょっとこわいねんけど(笑)。
【斉藤】 飼ってもらいたかったです! 1度も飼ってもらってないんで(笑)。
【近藤】 4分の3が野良ってすごくないですか!
【タケモト】 それで言うたら、4分の3がシンガーソングライターやからね(笑)。
【斉藤】 先輩に対して野良っていうのはちょっと失礼かもしれないですけど、野良だからこそいろんなご縁があってイベントをやったりしているので、そこも尊敬しているところとしてある。もちろん、曲が好きというのもあるんですけども。
【近藤】 やっぱり、私みたいに事務所に所属している人間からすると、そうやって個人で活動している方々の強さなどは感じますよ。
【斉藤】 あ、ほんとですか。
【近藤】 きちっとしていないと、1人じゃやっていけないですもん。それこそ、自分でちゃんと連絡を取ってラジオに出演しているわけでしょうし。そうやって築いてきたトミタさんのご縁を、斉藤さんがいま借りているということでしょ。
【斉藤】 そうですよ。ちゃんとレンタルバックしないといけない。
【近藤】 でも、トミタさんよく許しましたね。自分のもんにしたくないんですか?
【トミタ】 斎藤くんの人柄も含めて、やっぱりいい音楽というのはいろんな人に知ってもらいたいですし……! すみません、ちょっとボリューム上がりましたね。
【斉藤】 前のめりになってましたね(笑)。
【近藤】 マイクに近いこと、気づきました(笑)?
【トミタ】 マイクに近づきすぎちゃいました(笑)。
【斉藤】 一応、デスクがオフサイドラインだと思ってるんで。
【近藤】 サッカー好きやな〜!
【斉藤】 めちゃくちゃ好きっすね! やってなかったですけど。
【タケモト】 やってないのに!?
【斉藤】 野球部でした(笑)。
【タケモト】 サポーターとしてサッカーが好き?
【斉藤】 そうなんですよね。たまに仲間内でフットサルとかはやりますけど。
【近藤】 でも、公式戦で歌ったりもしてましたよね?
【斉藤】 はい、ありがたいことに。地元の大宮アルディージャというクラブの試合で歌わせてもらったことをきっかけに、鳥取や宮崎、山口、福島の試合でも歌わせてもらいました。
【近藤】 すごいじゃないですか!
【斉藤】 それも全部繋がりで。見つけてくれたサポーターさんがクラブに掛け合ってくださって、クラブから連絡が来たこともありました。