平安時代、弘法大師・空海が「雨乞いの祈祷」を行ったとされ、祇園祭発祥の地とされる真言宗寺院・神泉苑(しんせんえん 京都市中京区)に、今季も京友禅作家・足立茂さんが奉納した絵馬がお目見えした。
鮮やかな紅色とうぐいす色を基調とした手毬に、2匹の白蛇が寄り添うユーモラスな作品として、境内の「善女竜王社(ぜんにょりゅうおうしゃ)」手前の拝殿に設置されている。
神泉苑は、794(延暦13)年に桓武天皇により禁苑(きんえん / 宮中の庭園)として造営された。 平安京(大内裏)の南東隣に位置し、疫病退散を願い始まった祇園祭のルーツ「御霊会(ごりょうえ)」も開かれた。空海が淳和天皇の勅命で祈雨(雨乞い)を行ったのもこの地だ。
これ以降、神泉苑の池には善女龍王が住むとされ、神仏習合の時代の面影を色濃く残し、パワースポットとしても知られている。
足立さんは絵馬を奉納して9年。あと3年で干支が一廻りする。巳年の絵馬について、尊敬する人間国宝の截金(きりかね※)師・江里佐代子さん(2007年死去)の作品を参考にしたという。