昨年(2024年)11月の兵庫県知事選挙をめぐって、投開票日直前に兵庫県内の22市長(※)が、候補者の1人、稲村和美氏への支援を表明したのは公職選挙法に違反するとして、兵庫県内の元市議が7日、神戸地検と兵庫県警に刑事告発した。
刑事告発したのは、元兵庫県川西市議の女性(60代)。
兵庫県知事選挙をめぐっては、投開票直前の11月14日に兵庫県内の29市のうち22市長が「これほど誹謗中傷やデマが飛び交う選挙戦を許していいのか。選挙のあり方そのものに疑問を感じる」との理由で、「市長会有志」として稲村氏の支援を表明した。選挙期間中に首長が連名で特定の候補者支持を明言した異例のケースだった。
選挙は11月17日に投開票され、前職の斎藤元彦氏が約111万票を集めて再選、稲村氏は次点の約97万票で落選した。
告発した女性の代理人・徳永信一弁護士が同日、会見を開き、選挙期間中の現職市長による候補者への支援表明は、公職選挙法に定める「公務員の地位利用による選挙運動の禁止」に抵触すると指摘。
さらに、「(有志とはいえ)市長会を名乗った選挙活動は、市長(公務員の特別職)の地位による特定候補者の支持表明と言わざるを得ない」などと述べ、「市長による選挙活動としては一線を越えた」と批判した。
有志代表を務めた蓬萊務・小野市長は「今のところ申し上げることはない」とコメント。
兵庫県市長会の会長を務める酒井隆明・丹波篠山市長は取材に対し、「県政や知事選では虚偽情報の流布やプライバシー侵害などがあり、このままではますます混乱することは目に見えていた。市の仕事と県の仕事は不可分。県の混乱は市に大きな影響を及ぼし、市民生活の混乱に直結する。市長たちは誘い合ったわけではなく、数日で集まり、表明に至った。既得権益を守ろうとしているなどと言われたが、全く違う。混乱を収束させたかったのだと多くの県民に知ってほしい」と話した。
※支援した22市長~姫路市、尼崎市、西宮市、洲本市、伊丹市、相生市、加古川市、たつの市、赤穂市、宝塚市、三木市、高砂市、川西市、小野市、加西市、丹波篠山市、丹波市、南あわじ市、朝来市、淡路市、宍粟市、加東市