兵庫県姫路市で2016年3月に立ち上げられ、まもなく丸9年を迎える、日本初の女子プロバレーボールチーム・ヴィクトリーナ姫路。地域に密着した取り組みを行いながら、競技でも昨年末には皇后杯初優勝を果たすなど、成果を出しています。そんなチームを支えているのが、草創期を盛り立てた元選手です。現在はスタッフとなり裏方として活動する2人が、このたび、姫路市長がパーソナリティーを務めるラジオ番組に出演。姫路におけるヴィクトリーナの存在意義や、市民と関わったときの秘話などを語りました。
地元・姫路に根付いた活動を続ける、ヴィクトリーナ。いま、そのスタッフとして活動しているのが、元ヴィクトリーナの選手だった、吉岡可奈さんと坊野明里さんです。
東京都あきる野市出身で、名門の下北沢成徳高校、青山学院大学を経て、2018年度の内定選手としてヴィクトリーナ入りした吉岡さんは、2022-23シーズンまで同チームでプレー。ヴィクトリーナが初めてVリーグ1部(V1)に昇格したときの原動力になったミドルブロッカーは、チームの人気選手の1人でもありました。現在はアカデミー事業部に在籍しつつ、ヴィクトリーナの傘下チームであるヴィアーレ兵庫でバレーを継続しています。
一方、滋賀県東近江市出身の坊野さんは、金蘭会高校(大阪)時代に高校日本一を経験。2021年春、育成チームのマックスバリュ・ヴィクトリーナ(現、ヴィアーレ兵庫)へ加入後、同年秋にヴィクトリーナへ昇格。そこから3シーズンにわたってチームでプレーしたセッターです。Vリーグの公式戦通算では61試合に出場し、2023-24シーズンをもって現役を引退しました。現在はアカデミー事業部の一員として、U12とU15のコーチを担当しています。
ラジオ関西『ヒメトピ558』でパーソナリティーを務める姫路市の清元秀泰市長からは、2人に、「姫路出身ではないお二人が、姫路市に住んでみてどんな印象を持ちましたか?」という質問も。
これに対して、「姫路市民の方々はとても温かいなというのが率直な感想です」と答えた吉岡さん。具体的なエピソードとして、「現役時代、V1リーグ初年度の久光スプリングス(現、SAGA久光スプリングス)戦に、姫路市民3000人が駆けつけてくれたんです。その時にとても感動して、本当にホームなんだなと感じましたし、ヴィクトリーナは姫路の皆さんに育ててもらったチームなんだと再認識しました」と、当時の感動を振り返りました。
一方で、吉岡さんは最近、チームが市民と関わる機会が少ない印象があると話し、「例えばお城のごみ拾いを一緒に行うなど、もっと関われる機会を増やしていきたい」と今後の活動についても言及しました。
坊野さんは大阪の高校から姫路にやって来たとき、育成チームのマックスバリュ・ヴィクトリーナに所属していましたが、そのときはマックスバリュ西日本株式会社のアスリート社員制度により正社員としてレジ業務を担当していたそう。その際に、市民から声をかけてもらうことがあったといいます。ヴィクトリーナに昇格後も、「また試合の応援に行くからね」などの温かい声をもらったことが励みになったようで、「選手を引退しましたが、今も姫路で市民の方々に恩返しをしたいという思いがあるんです」とコメント。今は子どもたちにバレーボールを教えることなどで、地域への貢献活動を続けています。
そんな2人をはじめとするスタッフらの縁の下での頑張りや地元の熱烈なサポートなどもあり、昨シーズンはVリーグ2部で無敗の完全優勝を達成したヴィクトリーナ。ホームアリーナや売上高などのノルマがあったSVリーグにも参入を果たし、初年度から上位争いを展開中。そして、12月には皇后杯優勝で念願の主要大会初タイトルも獲得しました。チームはいま、アヴィタル・セリンジャー監督のもと、日本女子代表の井上愛里沙選手や宮部藍梨選手、タイ代表のチャッチュオン・モクシー選手らを中心に、女子バレーのトップカテゴリーで躍動中です。
「ヴィクトリーナ姫路の成績とともに、姫路市も明るくなってきたように思う」と、清元市長。ヴィクトリーナの頑張りは市民に勇気と希望を与えているようで、これからの活躍にも期待を寄せました。これを受けて、株式会社姫路ヴィクトリーナ常務取締役の釣雅典さんは、「今シーズンもひそかに優勝を目指しております」と抱負をコメント。地域のシンボルとして姫路を元気にしていきたいと前を向いていました。
※ラジオ関西『ヒメトピ558』2024年12月20日、27日放送回より