平田オリザさん(劇作家・演出家)のラジオ番組(ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』)に、フリーアナウンサーの久野知美さんが電話出演。鉄道好きアナウンサーとして活躍する久野さんは、昨年、阿佐海岸鉄道の「魅力向上アンバサダー」に就任。鉄道ファン以外の人々への訴求法など、地方鉄道における課題について語った。
大阪府寝屋川市出身の久野さん。高校時代から鉄道に魅了され、いまでは、“女子鉄アナウンサー”として活躍中。テレビやラジオへの出演だけでなく、2019年からは国土交通省認定日本鉄道賞選考委員、鉄道貨物協会の親善大使を務めるなど、幅広く活動している。
札幌発の寝台特急「トワイライトエクスプレス」が大雪のため928分の遅延に巻き込まれた際、「こんな幸せなことはない」と約35時間の乗車を満喫したという逸話を持つ久野さん。この話を聞いた平田さんの中に眠っていた“鉄道魂”に火が付いたのか、ヨーロッパでの大幅遅延や早期到着など、思い出話に花が咲く場面もみられた。
2024年、久野さんは、徳島県海陽町と高知県室戸市を結ぶ阿佐海岸鉄道の「魅力向上アンバサダー」に就任した。同鉄道は、2021年に線路と道路の両方を走る「DMV(デュアルモードビークル)」を世界で初めて導入し、注目を集めている。
DMVはバスのような小型車両で、レールに乗り入れると車輪が出て電車仕様に変身する。その転換は、時間にして15秒、乗客を乗せたまま行われる。災害時には、このポテンシャルをいかした交通機能の確保に期待が寄せられている。
この“モードチェンジ”をひと目見ようと鉄道ファンが撮影に訪れるなど、観光資源にもなっているという。休日には満員になることもあるそうだが、課題はある。
「いまは、鉄道ファンが応援も兼ねて乗車してくれていますが、今後は一般のお客様にいかに利用してもらうか(が課題となる)。休日のみ走行する室戸便は、海側を長く走って徳島入りするので景色が堪能できますし、沿線には廃校を活用した水族館などもあるんですよ。自治体の皆さんと協力しながら、観光資源をひとりでも多くの方に知っていただくことが当面の目標です。さまざまなプロジェクトが進行中ですので、ご期待ください」(久野さん)