平田オリザさん(劇作家・演出家)のラジオ番組(ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』)に、一般社団法人 たけの観光協会(兵庫県豊岡市)理事・田中陽介さんが電話出演。移住のきっかけや、同協会が現在取り組んでいるプロジェクトについて語った。
田中さんは大阪府出身で、2007年に但馬に移住。趣味のダイビングを仕事にするために移住し、現在はダイビングショップおよび民宿の経営とともに、たけの観光協会の理事を務めている。
田中さんによると、「竹野の海は四季がはっきりしており、春夏秋冬それぞれ異なる生態系を持っているのが魅力」だという。
平田さんは、「焼き板塀の街並みと抜群の透明度を誇る海岸が広がる竹野の風景は、城崎アートセンターに滞在する海外のアーティストからも人気が高い」とし、このように伝えた。
「『豊岡演劇祭』では、竹野でもいろいろパフォーマンスをしてもらっているんですが、宿が取れないため、アーティストには竹野の民宿に宿泊してもらっています。上演するのは(芸術文化観光)専門職大学だったりするので、遠いと不満がでるかと思ったら逆なんです。『朝はとにかく、海まで散歩をしてからリフレッシュして劇場に向かうのがいい』っていうんですね。本来、竹野の民宿は海水浴シーズンが終わると閉めるところですが、大好評だったので今年もぜひお願いしたいですね」(平田さん)
同協会では現在、海や地域にある資源を活用するプロジェクトが進められている。なかでも力を入れているのが、“イカ”。竹野では6種類のイカが水揚げされており、夏の活イカだけでなく、いろいろな調理法でイカを楽しんでもらおうと地元飲食店や民宿と連携し、さまざまなメニューを考案中だという。
一方、温暖化の影響でイカの漁獲量が減少している。その対策として、海底に樹木を沈めてイカの産卵場を設置するなどの取り組みも行われている。
ほかにユニークな取り組みとして、この冬、“イカに合うお酒”としてオリジナル日本酒を限定300本で醸造した。
竹野には酒蔵がないため、竹野町三原地区(標高400メートル)のコシヒカリ「ふとっぱら」100パーセントを使用した純米吟醸酒の醸造を、京丹後の酒蔵「与謝娘酒造」に依頼。ふくよかな味わいの日本酒が誕生した。