兵庫県南あわじ市の灘黒岩水仙郷が、今年も水仙のシーズンを迎えています。寒さに強く、冬にいち早く春の訪れを告げることから別名「雪中花」とも呼ばれている日本水仙。今年は例年よりも約2週間ほど開花が遅れ、今まさに一番の見頃となっています。
同水仙郷の歴史は古く、江戸時代後期に球根が灘黒岩に漂着して以来、地元住民に守られてきた場所です。福井県越前海岸や千葉県南房総・鋸南町とともに「日本三大水仙群生地」のひとつと言われています。
![灘黒岩水仙郷 ※過去の様子](https://jocr.jp/raditopi/wp-content/uploads/2025/02/2_%E4%BB%A4%E5%92%8C%EF%BC%95%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E3%81%AE%E7%81%98%E9%BB%92%E5%B2%A9%E6%B0%B4%E4%BB%99%E9%83%B7%E3%81%AE%E6%A7%98%E5%AD%90-887x1024.jpg)
昭和時代に水仙郷としての営業が始まり、今では毎年約4万人もの人が訪れる名所となりました。約3年間の休業期間を経て、2023年12月にリニューアルオープン。同市が運営を担うようになりました。
昭和時代の施設を一新、来園客を迎える建物が新設されました。屋上は展望デッキ、1階には手洗い場やトイレを設置し、2階はカフェ・レストランに。ユニバーサルデザインへの配慮もなされています。さらに、施設までの通路沿いに花壇を設けたほか、駐車場も拡張されました。特産品の販売もあり、地元では「淡路島3年とらふぐ」と並ぶ名物としてPRに力を入れ、南淡路の冬の観光を盛り上げています。
![リニューアルにより新設されたランドマーク](https://jocr.jp/raditopi/wp-content/uploads/2025/02/1_%E3%83%AA%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%A2%E3%83%AB%E5%BE%8C%E3%81%AE%E7%81%98%E9%BB%92%E5%B2%A9%E6%B0%B4%E4%BB%99%E9%83%B7-1024x768.jpg)
南あわじ市産業建設部長の川上洋介さんによると、屋上デッキからは、国生み神話の舞台と言われている沼島、晴れた日には和歌山の海岸まで一望できるとのこと。さらに、水仙郷を臨む諭鶴羽山の山頂付近には、フィギュアスケートの羽生結弦選手が二回も参拝したことで知られる「諭鶴羽(ゆづるは)神社」があり、パワースポットとしても注目されています。
川上さんは、「可憐な白い水仙と、始まりの島とされる沼島が浮かぶ海との景観は最高。エネルギーをもらい、新たな気持ちでスタートを切れるような場所」と話していました。
![屋上デッキからの眺め](https://jocr.jp/raditopi/wp-content/uploads/2025/02/3_%E5%B1%8B%E4%B8%8A%E3%83%87%E3%83%83%E3%82%AD%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E6%99%AF%E8%A6%B3-1024x768.jpg)
ちなみに、水仙の花言葉は「自己愛」です。白い水仙の英語名「narcissus(ナルシッサス)」は、ナルシストの語源となったギリシャ神話に登場する美少年「ナルキッソス」のことです。一方、黄色い水仙は「もう一度愛を」というロマンチックな花言葉を持ちます。この素敵な花言葉も、同水仙郷の周知に活用していきたいとのことでした。
灘黒岩水仙郷は今年は3月2日(日)まで開園。なお、今年1月24日から入園料が必要になっていますが、この時季はその開花状況から通常より減額されています。詳細や最新情報は、灘黒岩水仙郷のホームページに掲載されるとのことです。
(取材・文=森本真由)