1995年に発生した阪神・淡路大震災から30年。当時の経験と教訓を次世代に伝えるため、兵庫県赤十字血液センターでは震災後に生まれた職員たちが被災経験のある職員をインタビュー。当時の様子を伝えるパネル展を、ことし1月に県内6か所の献血ルームで実施しました。自らも震災後生まれで今回の企画に携わった、同センターの池田恵理子さんに話を聞きました。
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「阪神・淡路大震災が起こった当時、兵庫県赤十字血液センターでは多くの職員が被災者となり出勤することが難しい状況だったそうです」と池田さん。当日は、震災前日夜から出勤していた職員と何とか出勤できた職員のみで血液搬送業務を行い、医療機関への協力に緊急で対応したのだとか。
震災によって電話が不通となり、医療機関からの発注が受けられなくなった同センター。手元の血液を「どれだけ・どこに」届ければよいかわからない状況が続いたものの、震災の混乱で多くの人が血液を必要としていると確信していた職員たち。血液を大量に積み込んでエリアごとに分担し、各病院を巡回訪問したといいます。
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震災発生後、兵庫県では2月6日に明石と塚口の献血ルームで業務を再開。自分も被災者という立場ながら「困っている人の役に立ちたい」という人は多く、開場したその瞬間から多くの献血者が来場したといいます。「当時の職員は今でもその光景を鮮明に覚えており、震災を知らない私たちに伝えてくれている」と池田さんは話します。
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また、震災直後の兵庫県赤十字血液センターでは検査の機能が制限されていたため、大阪の血液センターの協力を得て検査や血液の製剤化を再開。近隣の地域とも連携しながら、関西が一丸となって支援に取り組んだという歴史があるそうです。
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池田さんは1995年生まれで、当時の震災を記憶していない世代。しかし、当時の出来事は現在でも職員たちに語り継がれ、緊迫した状況下でも臨機応変に対応し使命を果たそうとした先輩職員の行動力に感銘を受けたといいます。「どのような状況でも血液を必要としている患者がいることを改めて認識し、日頃からの献血協力の重要性を実感している」と語りました。
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インタビューの模様は、兵庫県赤十字血液センターの特設ホームページで公開されています。若い世代への啓発を行い、改めて献血活動への理解と協力を呼びかける内容となっているそうです。
※ラジオ関西「Clip火曜日」2025年1月14日放送回より
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