兵庫県立ピッコロシアター 神戸の歩みと重ね合わせた公演『神戸 わが街』 21日より上演 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

兵庫県立ピッコロシアター 神戸の歩みと重ね合わせた公演『神戸 わが街』 21日より上演

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 平田オリザさん(劇作家・演出家)のラジオ番組(ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』)に、兵庫県立ピッコロ劇団の俳優・孫高宏さんが出演。県立劇団としての意義や創立期からの変遷、阪神・淡路大震災直後における避難所での公演活動について明かしたほか、2月21日(金)からはじまる公演『神戸わが街』の見どころを語った。

兵庫県立ピッコロ劇団の俳優・孫高宏さん(写真中央)、番組パーソナリティーの平田オリザ(同右)、田名部真理(同左)

 1978年に開館した兵庫県立尼崎青少年創造劇場。演劇学校・舞台技術学校のほか、1994年には全国初の県立プロ劇団を設立。昨年、設立30周年の節目を迎えた。

 孫さんは、劇団設立時からのメンバーだ。大阪芸術大学舞台芸術学科卒業後、文学座附属演劇研究所に在籍していたが、大学や研究所の恩師がピッコロ劇団創設に関わると知り、入団した。

 同劇団について、平田さんはこのように解説した。

「欧米、特にヨーロッパでは、昔から地方都市でもオーケストラやダンスカンパニーがたくさんある。日本では、他府県に先駆けて兵庫県が『県立劇団』を作った。これは画期的なことでした」(平田さん)

 20名でスタートした日本初の県立劇団は、ほどなくして阪神・淡路大震災に見舞われる。折しも、別役実さんの書き下ろし作品『風の中の街』の上演を予定していたが、中止に追い込まれた。孫さんは、当時をこのように振り返った。

「県立劇団として何ができるか、俳優・職員みんなで模索した結果、避難所をまわり、子どもたちに向けて寸劇や参加型の演目を上演することになりました。2つのチームに分かれて、50か所以上の避難所を訪問しました。まさか結成1年でこんなことになるとは思ってもみませんでしたし、『演劇人が現地に行っても役に立たないだろう』と言われるのが当たり前の時代でしたが、“桃太郎”で(子どもたちに)一緒に鬼退治に加わってもらったり合唱したりすることで笑顔がみえると安堵しました」(孫さん)

 この話を受け、平田さんは「当時劇団代表だった、故・秋浜悟史先生が、『ほとんどの避難所を訪問したことが県立劇団としての意義を深めた』とおっしゃっていたのが印象に残っています」と話します。

 2006(平成18)年に兵庫県芸術奨励賞、2012年、17年に関西現代演劇俳優男優賞など、数々の受賞歴を持つ孫さん。幅広い役柄を演じ分けることができ、ファンも多い。2月21日(金)からは、兵庫県立芸術文化センターで行われるピッコロ劇団第81回公演『神戸 わが街』に出演する。

 アメリカの劇作家ソーントン・ワイルダーの不朽の名作『わが町』を、(当時)劇団代表の別役実さんが舞台を神戸に移し、阪神・淡路大震災から10年が経った年に書き下ろした作品だ。

『神戸 わが街』稽古の様子(撮影:ピッコロシアター)
『神戸 わが街』稽古の様子(撮影:ピッコロシアター)
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