鏡を見ていて、ふと目に入る1本の白髪。「あ、また増えたかも......」なんて思いながら、つい指先でつまんで抜いてしまいたくなること、ありませんか。しかしふと頭をよぎるのが「白髪は抜くと増えるって聞いたことがあるけど、本当なの？」という疑問。実際、白髪を抜くと本当に増えるのか、それともただの迷信なのか。今回は、白髪にまつわるウワサの真相について、日本毛髪科学協会の山内さんにお話を伺いました。
――ずばり、「白髪は抜くと増える」というウワサは本当なのでしょうか。
【山内さん】 いいえ、増えません。白髪は、抜く抜かないにかかわらず加齢によって増えていくものですので、「抜くと増える」というウワサは誤りです。
――それでは、白髪は抜いても問題ないのでしょうか。
【山内さん】 おすすめはしません。白髪に限らず、毛を抜くことで毛根の細胞が損傷し、再生してくる毛が歪（いびつ）な形になってしまいます。連珠毛（れんじゅもう）といって、数珠がつながったように部分部分に膨らみがあるような形です。
――連珠毛（れんじゅもう）が生えると、どのようなデメリットがありますか。
【山内さん】 やはり見た目が悪くなりますね。変形していますので、特に艶がなくなるなどといったデメリットがあるでしょう。
――そもそもなぜ白髪が生えるのでしょうか。生活習慣による影響はありますか。
【山内さん】 遺伝がほとんどです。一卵性双生児を研究したデータによると、約7割が白髪の生え方が同じという結果が出ています。生活習慣も影響すると言われていますが、そもそも研究結果があまり出ていないのが実情です。生活習慣との因果関係が大きいのは、どちらかというと脱毛ですね。
――「白髪が気になる」という人にとって、抜く以外の対処法には何がありますか。また、白髪を増やさないためにできることはありますか。
【山内さん】 白髪の対処法としては、カットするか、カラー剤で染めるのが無難な方法でしょう。また、白髪を増やさないために確実な方法があるとは言えませんが、バランスの良い食事を心がけることが大切だと考えられます。毛髪の色を決める「メラニン色素」は、チロシンというアミノ酸から作られ、その過程で酵素が関与します。そのため、アミノ酸や酵素の生成に必要な栄養を摂取するためにも、バランスの取れた食生活を意識することが重要でしょう。
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「白髪は抜くと増える」というのは誤ったウワサであることが明らかになりました。しかし、抜くことで毛根にダメージを与え、歪な毛が生えてしまうリスクがあるため、やはり抜かない方がよいということもわかりました。自分に合った対処法を見つけ、健やかな髪を保っていきたいものですね！
（取材・文＝坂本有伽）
