兵庫県にある「高速神戸駅」(神戸市中央区中町通)は、通勤・通学のほか、神戸ハーバーランド(神戸市中央区にある商業地区)などに訪れる際にも利用される駅です。阪神電車・阪急電鉄・山陽電車の3社が乗り入れ、平均乗降人員は1日あたり2万5567人(2023年11月調べ) なのだそう。

多くの市民から親しまれる同駅。誕生のきっかけや駅名の一部である“高速”に込められた思いなどについて、阪神電気鉄道株式会社(大阪市福島区海老江)の経営企画室・飯塚研一さんに話を聞きました。
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駅が誕生したのは、1968年(昭和43)4月7日。「神戸高速鉄道」として、西代~元町及び阪急三宮、新開地~湊川間が開通しました。
「当時の神戸市内の鉄道は、旧国鉄が市内の東西を貫通していました。ですが、市外から乗り入れていた4つの鉄道会社(阪神・阪急・山陽・神鉄)の終着は阪神が元町駅、阪急が三宮駅(現:神戸三宮駅)、山陽が兵庫駅(廃駅)、神鉄が湊川駅……と、大きく隔たっていました。 この各社を結び、相互直通運転をすることによって、市内交通の不便を解消し“高速化”するとともに、輸送力を増強することによって、各地域と産業の発展に寄与することを目的とし、神戸高速鉄道は営業を開始しました」(飯塚さん)

国鉄の神戸駅と区別するため、駅名を「高速神戸」(=神戸高速鉄道の神戸駅)に。“高速”が何を意味しているのかについては、「従来、神戸市に乗り入れていた4線の終着駅間を結んでいた神戸市電や市バスに比べて、“高速”ということを表しています」と飯塚さん。

また、神戸高速鉄道株式会社の役員で当時の神戸市助役・宮崎辰雄氏の出資案には、「高速度の一貫した市内交通機関としてその機能を充分に発揮せしめることができるとともに、都市能率の高速化を促進すること。神戸西部から高速度路線を経由し、乗換えせずに短時間で新開地、元町、大阪などへ直行することができること」から「神戸高速鉄道」と名づけたと説明があったそうです。
※「神戸高速鉄道30年の歩み」22頁より引用