古くから親しまれてきた遊び、「ぼうずめくり」。百人一首の読み札を使って行う遊びなのですが、じつはいま、実在する僧侶の写真を使った“リアルぼうずめくり”なるものが発売され、話題を集めています。
実在する僧侶35名それぞれ2枚の、合計70枚の写真で構成されるこのカードゲーム。公式の遊び方としては、(1)山札からめくられたカードと同じカードを取り合う「ぼうずめくり」、(2)70枚のカードで行う神経衰弱「ぼうずあわせ」、(3)親が引いたカードをプレイヤーが質問してどの僧侶かを当てる「それはこのぼうずですか?」の3通りがあるのだそう。
この謎のカードゲームを手がけたのは、現役僧侶と団体職員の2人からなるゲームクリエイトサークル・WAYA工藝。開発のきっかけや制作の裏話など、気になるあれこれについて話を聞きました。

――開発のきっかけは?
【団体職員の植田さん】 仕事の関係でボードゲームを作っている方と出会い、そこで作り方を教わったのが最初のきっかけでした。そこから、高校の後輩である織田を誘って本格的にゲーム制作がスタートしました。
最初は私たちの地元である北海道の特産品などを使ったゲームを考えていたのですが、あるとき、織田の修行時代の同期との集合写真を見て、そのシュールなおもしろさにビビッときまして。この見分けのつかなさがいきるものが良いのではと話し、『ぼうずめくり』の方向性が決まりました。

――“現役僧侶の写真を使う”というアイデア、どう感じた?
【現役僧侶の織田さん】 当初、僧侶の集合写真が「おもしろい」という感覚はまったくありませんでした。私にとっては当たり前に見分けのつく光景が一般の方々には難解に感じるということは、ゲームにいかせるおもしろい切り口と感じ、二つ返事でOKしました。
世代や言語の差、漠然とした僧侶への触れがたさといった、ある種の“壁“ ”を取り払う良い機会になるのではと、僧侶としての自らの願い、本懐も『ぼうずめくり』へと込めました。
――どのようにして制作した?
【織田さん】 知り合いの僧侶にお願いする形で、35人の顔写真を集めました。私と同じ思いの僧侶も多く、ほとんどの人が「おもしろいね!」と快諾してくれた印象です。
それぞれに写真を提供していただいたのですが、わざわざ写真館に行って撮影してくださった方もいらっしゃいました。また、立場上顔出しは控えるとされた方もいたのですが、販売後、奥様から「なんでこんなおもしろい企画に参加しなかったの!」とお叱りを受けたなんてこともあったそうです(笑)。