2024年4月にリニューアルオープンした神戸ポートタワー(神戸市中央区)。2021年9月からの大規模改修では、耐震補強とともに「神戸のランドマークとしての復権」を目的とされていました。今回は、リニューアルから約1年を迎えるポートタワーの変化や今後の展望について探ります。

リニューアル後の神戸ポートタワーは、来場者数の面で大きな成果を上げています。2025年1月にはリニューアルからわずか9か月で来場者数50万人を達成しました。これは1993年以来31年ぶりの快挙であり、年間60万人の目標達成も目前です。
客層にも変化が見られます。以前は団体客やカップルが中心のようでしたが、現在は午前中は団体客や年配の方、午後からは若いカップルやファミリー層、そして外国人観光客が増えています。
特にリニューアル後は午後11時まで営業時間を延長したため、近隣ホテルの宿泊者が散策を兼ねて訪れるケースが増えているようです。

タワー内部のコンテンツも大幅に拡充され、思い出作りのニーズに応じた仕掛けが施されています。
展望フロアの光のミュージアム「Brilliance Museum」では、体験型のインタラクティブなアート作品が展示されています。また、展望フロア5階にはたくさんのフォトブースが設置されています。
展望3階のカフェ&バー「Ready go round」は、ドーナツ状のフロアが自動で360度回転するお店です。
タワー建設当初からある仕掛けで、開業当時、回転レストランは全国60か所程度ありました。残念ながら現在残るのは5か所となり、希少価値が高くなっています。当時のものを活用しながらも新しい枠組みを与えることで、年配層には懐かしさを、若い世代には新鮮さを提供する特別な空間として人気です。

同タワーの今後の展望について、運営する株式会社フェリシモ(本社:神戸市中央区)神戸ポートタワー事業部長の富田浩幸さんにお話を聞くと、「年間来場者数70万人」が次の目標の一つとのこと。
ただし、「来場者数だけに凝ると、さらに混雑してしまいます。タワーの閑散期など、来場者の少ない時にいかに集客を増やすのか。同タワー限定のイベントを実施するなど、お客様満足度と来場者数の両方を意識していきたい」と語っていました。
さらに、「国内外のさらなる認知度向上を目指します」と、富田さん。「特に2025年大阪・関西万博を見据え、外国人観光客向けの施策を強化する必要があります。現在も海外の旅行会社と交渉を進めており、ウォーターフロントエリア全体で取り組んでいます」と述べていました。
リニューアルにより進化を遂げた神戸ポートタワー。これからも凛とした姿で、まちのシンボルとして、「鉄塔の美女」はみなと神戸で輝き続けます。
(取材・文=森本真由)