25年前に埋めたタイムカプセルの開封式が29日、兵庫県西宮市のフレンテホールで行われました。西宮市制100周年記念事業の一環で、来場者は、当時の新聞などを手に取りながら、四半世紀前に思いをはせていました。開封された品々は4月4日まで展示されます。
タイムカプセルが埋められたのは25年前の2000年6月24日。「ミレニアム」と「西宮市制75周年」を祝って、西宮市と市教育委員会、そして市内の4つのロータリークラブが市役所近くの六湛寺公園に埋めました。
カプセルには当時の西宮市の資料や、小学生や中学生の作文のほか、アナログ通信時代の携帯電話やヒット曲のCD、流行服、新聞・雑誌など当時の世相を伝える品々が納められ、今年1月、25年ぶりに掘り起こされました。

開封式典で、西宮市の石井登志郎市長は「50年後、100年後の市民により良い西宮を渡せるよう、住みやすいまち・西宮をこれからもつくっていきたい」と決意をコメント。西宮ロータリークラブの赤澤健一会長は「次の100年を見据え、これからも地域社会に貢献し、ともに歩んでいきたい」とあいさつしました。


その後の基調講演では、兵庫県立兵庫津ミュージアム名誉館長で歴史家の田辺眞人さんが「この25年と日本の生活文化史~タイムカプセルの開封に~」と題して講演。
田辺さんは伝統や文化は永遠不変のものではないと指摘し、「日本文化といわれるものの多くもこの500年で定着したもの。着物や和食、畳など日本人自体が思いつく代表例が、いまや実際の暮らしで姿を見せなくなっている。まさに500年ぶりの転換点」と説明しました。
こうした変化とデジタル技術の進化によって、均一性・同一性が高かった日本社会に変化が生じ、価値観や生活様式の異なる複数の集団に分かれ始めているといいます。
「日本人だからいわなくても通じる・わかるはず、というのは思い込み。わかってもらうためには伝える努力を惜しんではダメ。家族にも言葉を尽くして説明する。そうした一つひとつが、価値観や世代を越えた対話につながる」と、内なる“異文化理解”を呼びかけました。
最後に「変化は危機ではなくチャンス。歴史の中にある経験を見つめ、これからに活かしてほしい」と語りかけました。

なお今回開封されたタイムカプセルの品々は、JR西宮駅前の商業施設「フレンテ西宮」の4階で4月4日まで展示されます。