朝日新聞阪神支局襲撃事件38年 「言葉の暴力、情報の歪みに立ち向かう」小尻記者を悼む

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 朝日新聞阪神支局(兵庫県西宮市)が襲撃され、記者2人が死傷した事件から5月3日、38年を迎えた。

朝日新聞阪神支局で開かれた「しのぶ会」で、事件の発生と同時刻に黙禱(もくとう)する朝日新聞の社員ら〈2025年5月3日 午後8時15分 兵庫県西宮市〉※代表撮影

 阪神支局3階の資料室ではこの日夜、犠牲になった小尻知博記者(当時29)をしのぶ会が開かれ、朝日新聞社の幹部ら関係者約30人が哀悼の意を捧げた。

犠牲になった小尻知博記者の遺影〈2025年5月3日午後7時53分 兵庫県西宮市〉※代表撮影

 事件発生時刻の午後8時15分に合わせ 、全員で黙祷を捧げた後、龍沢正之・大阪本社編集局長が「インターネットで拡散された誹謗中傷や脅迫、威圧などの言葉の暴力にさらされ、日常が脅かされる事態が頻発している。さらに昨年の兵庫県知事選挙では、SNSで虚偽の情報や根拠不明の情報を『ほんとうのこと』として吹聴する動きが当たり前のように広がり、ついには選挙結果にまで影響した」と危機感を示した。

朝日新聞阪神支局で開かれた「しのぶ会」で、事件の発生と同時刻に黙禱(もくとう)する朝日新聞の社員ら〈2025年5月3日 午後8時15分 兵庫県西宮市〉※代表撮影

 そして、「表現の自由はとても大切だ。だからこそ政治権力による統制ではなく、私たち報道に携わる者が、言葉の暴力や情報の歪みに立ち向かわなければならない。決してひるむことなく報じるという大事な原点に立ち返りたい」と話した。

 阪神支局の拝礼所にはこの日、市民ら約330人が訪れ、小尻記者の遺影に手を合わせた。資料室には約170人が訪れた。

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 事件は1987(昭和62)年5月3日午後8時15分に発生。朝日新聞阪神支局に目出し帽姿の男が押し入って散弾銃を発砲し、小尻記者が死亡、同僚の犬飼兵衛氏(2018年死去)が重傷を負った。
 「赤報隊」を名乗る犯行声明が届き、中曽根康弘元首相への脅迫、江副浩正リクルート元会長宅銃撃、愛知韓国人会館放火など7件の事件について、警察庁は「指定116号事件」としたが、いずれも未解決のまま、2003(平成15)年までにすべての公訴時効が成立した(阪神支局襲撃事件の時効は2002年)。

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