それでも、彼女が潰れなかったのは、指導者との出会いが大きかったといいます。「中高の恩師っていうのは、当時では珍しく“怒らない監督”でした。選手の主体性や自主性を尊重する人。『バレーボールを嫌いにさせない、好きなまま卒業させる』という方針をお持ちでした」と大山さん。“厳しさと人間らしさ”が揃ってこそ「強さ」になる……そんな価値観が彼女の原点にあります。
現役後半は度重なる怪我に苦しんだ大山さん。「睡眠導入剤と精神安定剤を飲みながら過ごしていた」と明かすほどの苦境にも直面しました。

それでも、復帰戦で1分間だけコートに立った瞬間、客席から涙を流して喜んでくれる観客の姿に救われたといいます。
「すごく幸せだな、って思いました。本当に苦しかったけど……自分のことを待っててくれる人がいる、涙してくれる人がいる。こんな人生、なかなか歩めない」(大山さん)
番組ではリスナーからの相談に答える場面も。怪我でプレーができなくなった子どもを持つ親からの相談には、「『前を向かなきゃダメ』って子どもは思い込むことがあるけれど、辛い・苦しいという気持ちに蓋をさせない。親がそれを吐き出させてあげて欲しい。そして本人も吐き出すことを“悪”と思わない。かなり大事な事だと思います」とアドバイス。
最後に、未来を担う子どもたちへのメッセージとして、大山さんはこんな言葉を残しました。
「目標に向かって頑張るのも大事。でも何より大事なのは、その競技を『大好き、楽しい』と感じること。楽しいともっとやりたくなるし、大好きなら食事や睡眠など競技にまつわる色々を頑張れると思うんですよね。周りの大人たちはその環境を作ってあげてほしいです」(大山さん)

※ラジオ関西『ハートフルサポーター』2025年4月28日放送回より



