
兵庫県農業技術センター研究主幹・池上勝さんは、「多くの来場者に試飲をしていただき、おおむね好評。新しい“ひょうごの酒”が世界に広がれば」と笑顔で答えた。
「菰樽(こもだる)」造りの実演も。お祝いや景気づけなど“ハレ”の場を彩る樽酒。今や瓶詰めが主流の日本酒だが、かつては樽酒が当たり前だった。
剣菱酒造(神戸市東灘区)の菰職人による実演では、重量約90キロもある四斗(約72リットル)樽を転がしながら藁(わら)を編み込み、菰で樽を包み込む。


巻き付けるというよりも、着付けるという表現がふさわしい。
1505年創業、日本で酒にブランド名をつけたのが初めてとされる「剣菱」。菰職人を置いている酒造会社も稀有な存在だ。


また、菊正宗・白鶴・白鹿・大関の4社の杜氏6人による「酒造り唄」も披露された。それぞれの酒蔵で、こうした文化の継承もこれからの課題となっている。


訪れた兵庫県三木市の60代男性は、山田錦を栽培して40年以上。
猛暑の影響で、昨年(2024年)の収穫量は例年の8割減だったと話す。「地球温暖化は深刻で、山田錦も品種改良が必要。酒米が絶妙に溶け出す良い酒を造ってほしいからね。万博会場で“兵庫ブランドの酒”をアピールしてもらえると、私たち生産者も励みになる」と微笑んだ。





