続く追悼式典には遺族のほか、全校児童600人や教員、来賓ら約765人が出席した。事件の発生時刻、午前10時12分にあわせ、亡くなった児童の名前が刻まれたモニュメント「祈りと誓いの塔」の8つの鐘を鳴らし、参列者が黙祷をささげた。

事件から24年が経過した。今年度(2025年度)になり、事件当時を知る教員がいなくなった。
荒川真一校長(51)は2010年に池田小に赴任、副校長や他校の教頭を経て、今年(2025年)4月、校長として再び池田小に戻った。「事件から24年がたち、事件当時の学校関係者も年齢を重ね、学校現場から退く世代になりつつある。世界には争いごとが絶えない。さまざまな異なる価値観を寛容できる、大きな心を持つことが『共に生きる』ことだ。人を傷つける側の人間ではなく、人を守る、支える側の大人になってほしい」とコメントした。

荒川校長は式典後、事件当時に在籍していた教員が1人もいなくなったことについて、「いつかはこういう日が来るだろうと思っていた。しかし、今まで積み重ねてきたものは残っている。今後も子どもたちも含めて『語り伝えること』が大切。事件当時にいなかったから語る資格がない、ということではない。学校全体の課題として取り組みたい」と話した。

その上で、「日ごろ教員が子どもたちに声をかける際、優しく、温かい言葉が子どもの心に響く。そして自尊心豊かな大人になっていく。子どもたちを守ることはもちろん、人を傷つけない人間を育てることも大切だ」と誓った。

《大阪教育大附属・池田小児童殺傷事件》
2001年6月8日午前10時12分ごろ、包丁2本を隠し持った宅間守・元死刑囚が、学校東側の門から校内に侵入。校舎1階の教室や廊下で児童らを次々に襲い、2年の女子児童7人と1年の男子児童1人が死亡、児童13人と教諭2人が重軽傷を負った。元死刑囚は現行犯逮捕された。一審・大阪地裁で2003年、死刑判決が言い渡され、控訴を取り下げ刑が確定した(2004年9月死刑執行時・40歳)。
国や学校はその後、学校の安全管理の不十分さを謝罪、事件を機に全国で学校の安全を見直す動きが広がった。





