女性を応援するラジオ番組に、世界的ファッションデザイナーのコシノヒロコさんが登場。5月23日に公開された映画『ゴッドマザー〜コシノアヤコの生涯〜』について、そして母・小篠綾子さんへの思いや子育ての哲学まで、率直な言葉で語りました。
☆☆☆☆
同映画は日本のファッション界に革命をもたらした、コシノアヤコさんの波瀾万丈な人生を描いた作品。主演は大地真央さん。コシノ三姉妹を黒谷友香さん(ヒロコ役)、鈴木砂羽さん(ジュンコ役)、水上京香さん(ミチコ役)が演じています。

「泣けるところと笑えるところのバランスがうまくて。笑っているかと思えば涙が出てきて、泣いていたらまた笑っちゃう。気持ちを強くしていくというか、『前向きに歩いていこう』という気持ちにしてくれる映画」と、感想を述べたヒロコさん。
作中でとくに印象深かったのは、「子育てと親子の距離感」だったとか。「親が子どもの本当の力を引き出しながら突っぱねるところは突っぱねて。その分、愛を与えるところはしっかり与える。このメリハリがはっきりしていますね。非常に厳しい部分もあるんですけど、それをあえてやるという親の苦しい気持ち……そういう場面があって泣けますね」とのこと。
「子どもは自立しなきゃいけない。いつまでも親に頼るわけにはいかない。だからこそ、小さい時からその子の才能を引き出してあげなきゃいけない。これはやっぱり親の役目」とヒロコさんは、自身の幼少期の思い出を振り返ります。
戦後の物資が不足していた時代、母・綾子さんは画材屋と物々交換しヒロコさんにパステルを与えたといいます。ヒロコさんは「普通では考えられないことですよね。食料品を買ってくるのが関の山なのに、画材を買ってね。私の才能を見て、少々食べることを犠牲にしてでも才能を生かそうとしてくれた」と母への感謝を口にします。
子どもの才能を見抜き、どんな環境でも伸ばそうとする「親の覚悟」と同時に、親子の距離感についても言及。「今の親子関係って、親が子どもに優しすぎるように感じるんです。子どもに対して手を差し伸べたい気持ちはよくわかるけれど、それをやったら子どもが自立できない。だから行くとこまで行かせる。(私の母には)そういうところがあって、親からするとすごく辛い気持ちになると思うんですけど、親を頼らせてばかりではためにならないんです」と持論を展開しました。

映画にも描かれた“コシノ三姉妹”の関係は今も変わらず健在。お互いを良きライバルとして刺激し合う存在であり続けているといいます。「『お姉ちゃんだから妹に優しくしなさい』とか『妹は少しおとなしくしなさい』なんて関係ない。勝ったもんが勝ち。だから必死でやるわけ。真剣に喧嘩するわけですよ」と、幼い頃から遠慮なくぶつかり合い成長してきた様を明かします。
このことは“生きる原動力”になっているといいます。「常に身近にライバルがいるっていうのは、とっても励みになる。私たち3人の年齢を合わせると150歳以上になるんだけど、それでも現役でやっていられるのは互いにライバル意識があるから」と力強く語りました。
ヒロコさんは最後に「親がサポートしすぎて、子どもが『何かやりたい』という衝動を抑えてしまうことがある。それは絶対やめた方がいい。『横でじっくり愛情を持って見守ってあげるから、やりたいことをやりなさい』 という気持ちが大切だと思います」と、子育て真っ最中の親たちへメッセージを送りました。
☆☆☆☆
母・小篠綾子さんが貫いた、自由と厳しさ。それは「愛のバランス」とも言えるのかも知れません。
※ラジオ関西『ハートフルサポーター』2025年5月26日、6月2日放送回より




