門間市長の特徴的な政策アプローチは、“人と地域に寄り添う”という理念にある。大学、企業経営者、子育て世代など、多様なステークホルダーの声に耳を傾け、きめ細かな施策を展開する考えだ。
観光面では、演劇祭や世界とのつながりを重視し、経済的な側面からも地域の魅力を高めようとしている。特に、豊岡市の文化的ポテンシャルを最大限に活用する姿勢が際立っている。
交通インフラの改善にも意欲的で、サイクルバスやサイクルトレインなど、創造的な移動手段の導入を検討している。これは、学生の活動領域拡大にもつながる革新的な取り組みといえる。
空き家対策においても、シェアハウスや地域との連携など、柔軟な発想で課題解決に取り組む姿勢をとっている。
平田さんも、演劇祭での事例を挙げた。
「僕はよく、『人口減少は緩慢なる大災害』と表現しています。そのなかで、大学として演劇祭として何ができるか。たとえば空き店舗でも、人に貸すまでは抵抗があっても、演劇祭の期間だけなら可能という方は結構いらっしゃる。実際に、若い学生らとの交流が生まれてよかったなと実感してもらえている。こうして、少しずつマインドを変えていくのはアートの力なのかなと考えている」(平田さん)
門間市長は、多様な価値観を認め合う“緩やかなネットワーク社会”の構築を目指す。
「ゼロかイチかということではなくて、意見の背景にも配慮しながら、一致団結ではなく、互いのつながりを大切にする新しいコミュニティづくりに挑戦したい」(門間市長)
伝統と革新、文化と経済、人と地域をつなぐ、未来のスタンダードとなる地方創生モデルは始まったばかりだ。

※ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』2025年7月17日放送回より
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『平田オリザの舞台は但馬』
放送日時:毎週木曜日 12:30~12:54
放送局:ラジオ関西(AM 558khz / FM 91.1mhz)
パーソナリティー:平田オリザ、田名部真理
メール:oriza@jocr.jp
『ラジコ』では放送後1週間はタイムフリーでの聴取が可能。番組では、平田オリザさんが、ともにパーソナリティーを務める田名部真理さんと、これまでの自身の話しや演劇界への思い、移住拠点となっている兵庫・豊岡、但馬地域について、トークを進めていく。





