コンビニ、スーパー、ファストフード、介護、農業、工場など──今では日本国内のさまざまな分野で活躍している外国人の働き手。企業で働きながら日本の技術を学ぶ「外国人技能実習制度」は、2027年から、より実態に即した「育成就労制度」へと移行する予定で、外国人人材を取り巻く環境は大きく変わろうとしている。
そうしたなか、現在の外国人技能実習制度に基づく実習で、外国人の人材はどのように企業に送り出されているのか。その実情について、明石市の監理団体に話を聞いた。
1997年6月に設立された、明石市の共伸事業協同組合。ベトナム人に特化して技能実習生を受け入れている。

代表理事の富永芳史さんによると、同組合では、まず、入国までに実習生候補は約半年間かけて日本語を勉強。ひらがなやカタカナを学び、人によっては漢字も少し勉強したうえで日本に入国。入国後も法律に基づいて176時間、組合で開催する日本語教室で勉強し、企業に配属するという流れだという。
主に関西圏の企業に実習生を送り出している同組合では、関西弁も学べる教材「サバイバルテキスト」を用意しているそう。
きっかけは、実習生が配属された企業の担当者から「実習生に日本語が通じない」という反応があったことだ。
富永さんが担当者に「どのようにおっしゃいました?」と聞くと、「『何やっとんの?』と声をかけた」という返答が。組合では「何をやってますか?」という標準語は教えていたが、関西弁は想定していなかった。そこで、現場や生活に即した言葉も必要だと考え、テキストに関西弁を盛り込むようにしたという。
このテキストには「約束を守る」、「ウソはつかない」、「明るく元気にする」、「あいさつは大きな声ですること」、「うがいは必ずする」という5か条を掲載。ほかにも、雇用先の企業と実習生が信頼関係を築くためのノウハウが詰まっている。
同組合では公団住宅を2部屋所有しており、実習生は入国後1か月ほど勉強する間は、そこで生活を送る。富永さんは実習生と毎朝顔を合わせ、研修後には企業に実習生の性格などの情報も含めて伝えて送り出す。
採用時には企業の担当者に直接面接することに重きを置いていると、富永さん。「受け入れられるまでは外国人実習生を雇用することは敷居が高いと思われることもありますが、実際に実習生を見ると『この子は大丈夫』と思って採用してもらえています」。
最後に富永さんは「海外からやってくる人たちも安心して働ける、日本で生活できるというところの一翼を担っていきたい」と話した。
※ラジオ関西『三上公也の朝は恋人』より



