兵庫県内に伝わる妖怪の伝承や「現代妖怪」の紹介、水難事故の防止、環境問題についても考える特別展「妖怪水族館」が兵庫県立兵庫津ミュージアム(神戸市兵庫区)で開かれている。会期中、展示室以外にも“妖怪”が出現するほか、多彩な関連イベントも予定。9月15日(月・祝)まで。

兵庫県福崎町は日本を代表する民俗学者・柳田國男の生誕地で、河童(かっぱ)伝説でも知られる。第1部では柳田の幼少期や河童に関する著作などについてパネルで紹介しているほか、同町の人気妖怪キャラ「河童のガジロウ」の生態についてもくわしく解説。
第2部「水辺の妖怪 むかしといま」には、小豆島にある「妖怪美術館」(香川県小豆郡土庄町)が所蔵する妖怪の造形作品が並ぶ。同館がコンテストで集めた膨大な作品の中から選ばれた28点で、頭の皿が流しそうめんの機械になっている河童、現代のネット社会から生まれたという「NET WORK 妖怪タコ入道」など、ユニークな妖怪たちが勢ぞろい。兵庫に伝わる妖怪伝承「夢前川の河童」「明石の大ダコ」「播州皿屋敷」などもイラスト入りで紹介している。




後半は、水辺の安全を啓発する「妖怪クイズ」や妖怪が潜む「SDGs迷路」、兵庫の水辺のクリーン活動紹介など、夏休みの自由研究につながりそうなテーマの展示が目白押し。さらに同ミュージアム1階エントランスには、アーティスト・武田充生さんが廃棄漁網を利用して制作した立体アート「明石の大ダコ」がお目見え、来館者を妖怪の世界へといざなう。
展示を担当した妖怪美術館マネージャーの佐藤秀司さんは「日本全国に伝わる妖怪伝説は古来、人々の想像力によって受け継がれてきた。河童の伝承は、子どもを危険から遠ざけるために大人が生み出したインターフェース。妖怪は、見えない脅威を感知するための存在で、妖怪文化は子どもたちにとって未知の世界を切り拓く道具になり得る」と話した。







