世界最高峰のファッションショー「パリコレ」が開催される国・フランス。“世界のオシャレ番長”というイメージを筆者は抱いていますが、実際のところどうなのでしょうか。パリを拠点にイメージコンサルタントをおこなう「T image Paris(ティマージュ パリ) 」代表・トモミさんに聞きました。
☆☆☆☆
映画やファッション誌などの影響もあり、フランスでは「シンプルなファッション」が好まれていると思われがちですが、トモミさんによるとそれは違うようです。「私も渡仏する前は、フランス人といえば“デニムに黒トップス”といったミニマルな格好を好むと想像していました。ですが、住んでみると皆さんとてもカラフル。また柄物もたくさん種類があり、それぞれ似合うものをチョイスしています」とのこと。また「日本のファストファッションは“シックでさっぱりしたデザイン”が多い傾向ですが、フランスは華やかでカラーバリエも豊富、露出度も高い服が多いですね」とも。

では、シンプルシックな「フレンチカジュアル」は過去のものになってしまったのかと思いきや、そうでもないそう。近年では往年の“王道スタイル”を取り入れているティーンエイジャーも増えているのだとか。ゆるい黒スウェット・ダボダボのデニム・スニーカーというスタイルがトレンドだといいます。

ベストセラーにもなった書籍『フランス人は10着しか服を持たない』の影響もあってか、「無駄なものは持たない、質のいいものだけを選んで大切にするのがフランス人である」と、日本で広く浸透しましたが本当なのでしょうか?
「私の周りにいるフランス人は10着以上お洋服を持っている人がほとんどです。とはいえ『芸能人やインフルエンサーが持っているから』などと、安易に真似をしてファッションアイテムを買うことは少ないと思います。“似合うもの・好きなもの・使えるかどうか”をしっかり考える方が多いと感じます」(トモミさん)

また、金銭的な事情や文化によって個人差はあるものの、「安い」という理由で買ったり捨てるというような行為も避けられているよう。これには、同国がヨーロッパ諸国のなかでも「環境問題対策」に力を入れていることが背景にあります。プラスチック削減やフードロス問題にもいち早く取り組んでおり、服に対しても同じような目線を持つ人も多いそう。「服を大切に扱ったり長く着ようとする人は多いですね。エコの考えが浸透しているので、無駄に買って消費することをよく思わない方は多いと思います」とトモミさんは説明しました。
☆☆☆☆
「環境問題を見据えたうえでファッションを楽しむ」……こうしたフランス人のスピリットは積極的に取り入れたいものです。
(取材・文=つちだ四郎)



