姫路信用金庫 25年6月期「景況レポート」 景況感は小幅悪化、来期も慎重な見通し | ラジトピ ラジオ関西トピックス

姫路信用金庫 25年6月期「景況レポート」 景況感は小幅悪化、来期も慎重な見通し

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 姫路信用金庫(本店:兵庫県姫路市十二所前町105)はこのほど、取引先企業の景況感を調べる「景気動向調査」を行い、結果を「ひめしん景況レポート(2025年6月期)」として発表した。調査は6月上旬、取引先450社を対象に実施、447社から回答を得た。対象期間は、25年4月から6月までの3か月間。

姫路信用金庫本店
姫路信用金庫本店

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 同金庫の調査は1975年から四半期に一度実施しており、今回が199回目。対象は兵庫県播磨地域から明石市・神戸市にかけての企業で、「製造業」と「非製造業(卸売/小売/運輸・サービス/建設/不動産)」の計6業種に分けて行う。対象のうち87%以上が従業員50人未満の規模と、中小企業や地場産業の業況を反映した調査となっているのが特徴。

 調査の結果、全体の業況判断DI(景況が「良い」と感じている企業の割合から「悪い」と感じている企業の割合を引いた指数)は、全業種の総合で前期(25年1-3月期)から2ポイント減の▲4と小幅悪化した。

2025年6月期の「ひめしん景況レポート」
2025年6月期の「ひめしん景況レポート」

 業種別で見ると、「製造業」は前期から8ポイント減の▲9と悪化。「非製造業」は前期から1ポイント増の▲2となり、運輸・サービス業、建設業を除く3業種で改善した。同金庫の担当者は「外部要因としては世界情勢や米国関税問題、内部要因としては物価高騰により業況判断DIの回復傾向が鈍化した」としている。

「製造業」は前期から悪化した。21業種中、金属製品や食料品など4業種で改善し、悪化したのは一般機械器具や輸送用機械器具など9業種だった。改善した業種には、米国関税問題で仕入れが停滞傾向にあるなど(金属製品)今度の動向を懸念した動きも見られる。悪化した業種の中には、社会保険料の負担増や賃金引上など人件費の高騰に影響を受けた業種(建築用金属製品)もあった。来期の予想業況判断DIは▲9と今期から横這いの見通し。

「非製造業」は卸売業、小売業、不動産業では改善したものの、運輸・サービス業では小幅悪化、建設業は悪化した。来期の予想業況判断DIはいずれも3~7ポイント悪化するとみている。米国関税問題への懸念や、材料費の価格高騰・人員不足が課題となっている。

 さらに「2030年以降を見据えた中長期的な経営」をテーマに特別調査を実施。「事業承継について、2030年までに経営者の変更を予定しているか」との問いに、「経営者の変更を予定」とした回答割合は19.9%となった。中でも、「経営者変更を検討する必要性は感じているが、未着手」という事業所が26.2%となり、経営者層における人材不足も課題となっている。また「SDGsの取り組みを行っているか」の問いに対しては、「SDGsの取り組みをしている」事業所は83.7%となり、どの業種も「省エネ・節電・再生可能エネルギーの使用」の取組み割合が一番高い傾向となった。

 同金庫の三宅理事長は、「米国関税による影響そのものよりも“先行き不安”が企業心理を冷やしている」と述べ、「SDGsや次世代経営者の育成等について、企業と一緒に悩む仲間となるような支援体制の枠組みを今後も構築していく」と語った。

(取材・文=森本真由)

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