相続トラブル・空き家問題・管理不能な不動産……その背後には、一般にはあまり知られていない「共有持分不動産」という構造的な課題が潜んでいます。複雑な権利関係を抱えた不動産は市場での流通が難しく、結果的に放置されるケースも少なくありません。そうした「売却困難物件」の再流通に取り組む企業として、地道な交渉と専門知識を武器に注目を集めているのが、大阪を拠点とする不動産会社・株式会社ネクスウィルです。
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大阪支店長の野坂氏は、複数人が権利を持つ「共有持分不動産」の専門家。同社には、遺産相続などにより一つの不動産を複数人で所有しているケースの相談が数多く寄せられます。
「一つの不動産を複数人で所有している」とは、例えば兄弟3人で親の家を相続し、3分の1ずつ所有している場合などです。一人が自分の持ち分だけを売りたいと思っても、買い手は限られます。こうしたケースは、所有者全員の合意が得られないと、売却や解体・活用はほぼ不可能に近く、結果として放置される空き家が増えていき地域の景観や治安にも影響を与える事態になります。

同社が扱う案件の多くは、そうしたスムーズに進まない不動産。まずは売主から丁寧に話を聞き、状況を整理しながら解決の糸口を探っていきます。
「共有者との交渉がやはり一番重要。どこまで納得してもらえるかは、営業力やこれまでの経験がものを言います。最終的には所有権をひとつにまとめ、市場に出せる健全な状態にすることが、我々の使命だと思って取り組んでいます」(野坂氏)
中には、1〜2日で契約が成立するケースもあり、相談者から「もう少し考える時間がほしい」と言われることもあるといいます。これについて野坂氏は「(ご相談いただく方の多くが)長い間ずっと悩み続けてこられた。そのうえで、たまたま我々と出会い解決の道筋を提示できた。だからこそ、その背中を押してあげることが本当に大事だと思っています」と、自身の営業観を述べました。
共有者の所在が不明というケースも珍しくなく、調査の結果「所有者が警察に拘留中だった」というような事例も。同社の代表取締役・丸岡氏は、こうした事情から「大手の不動産会社や一般の買取業者では、こういった案件は対応しないことが多い」と指摘します。
「買取ってもらえずに困っている方が少なくありません。当社では、こういった共有持分の案件を300〜400件ほど買取らせていただいています」(丸岡氏)
今後の展望としては、増加する空き家問題や相続不動産を背景に自治体との連携を視野に入れながら、さらなる事業拡大を目指しているとのこと。丸岡氏は「今の取り組みをさらにブラッシュアップし、活用の方法もさらに種類を増やしていきたい。課題が見えていてかなり伸びしろのある領域ですから、私たちがしっかり対応することで、多くの方に喜んでもらえるのは本当にうれしい」と語りました。
続けて野坂氏も「物件を売れないと思っている方が多いと思うので、買ってくれるところがあるんだという事をもっと知ってもらいたい」と、専門性の認知拡大を今後の目標として掲げました。

※ラジオ関西『としちゃん・大貴のええやんカー!やってみよう!!』2025年8月4日放送回より





