「カタチにするチカラ~デザインと現場の交差点~」(2)コシノジュンコと建設業界 新3Kの提案 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「カタチにするチカラ~デザインと現場の交差点~」(2)コシノジュンコと建設業界 新3Kの提案

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 岡本さんは「(コシノさんは)普段は優しいのに、仕事は1点の妥協もない。(コシノジュンコ)先生との最終チェックは緊張の連続。でも出来上がったものをみると今までにないもの、ワークの世界(我々の業界)で当たり前だと思っていたことが、先生の目にはデザインに映る。もっとあるでしょ、と。本当にいいものは真剣な議論や、やり取りの中からしか生まれないということを学んだ」と振り返る。

「建設業界は3Kと言われる。これを新たな3K=きれい、気持ちいい、着心地いいに変えればいい」。

 コシノさんが提案する新3Kで、建設業界が変わろうとしている。効率的に行動するためだけの衣服から、働く人達が楽しく、気持ちよく取り組めるよう。そしてあのユニフォームを着るのなら働きたいと、子どもたちにも思ってもらえるように。

 そのようなコシノさんの思いは、同じ建設業界でも違う方向にも向けられた。

「羽田空港にあるクレーン車がキリンに見えて仕方ない。遊園地みたいにいろんな色があって、かわいくてもいいと思う」。そんな思いでデザインしたのが株式会社ハマテックの緑のクレーン車だ。

 緑色は、ハマテックのコーポレートカラーでもあり、安全を意識した色。「コーポレートカラーであることは伝えたが、こちらからこの色、この形でというお願いはしなかった。先生の現場に対する思いをクレーン車に描いてもらえたら」と、濱中さんは振り返る。

コシノジュンコさんデザインのクレーン車
コシノジュンコさんデザインのクレーン車

 原案を見た時、濱中さんは「めちゃめちゃカッコイイ! 実物はどうなるんだろうとワクワクした」。そして出来上がった今、「何よりカッコイイ!!」と絶賛する。現場のオペレーターにも「コシノデザインのクレーン車に乗れるなんて!」と好評で、あの現場で働きたいという子どもたちの夢につながるのではないかと期待する。

 濱中さんにはコシノさんと出会う前から、人材不足に悩む建設業界を盛り上げたいという思いがあった。どうすれば世間の目を向けられるか。向けてもらうためにはどうすればいいかを考えていた。その中でこのデザイン性のあるクレーン車が誕生した。「ハマテックでも新3Kを発信しています。かっこいい、(建設業は)稼げる、(現場に携わる人自身が)変われる、です」。

株式会社ハマテック 代表取締役 濱中朋弘さん
株式会社ハマテック 代表取締役 濱中朋弘さん

 コシノさんは、「クレーン車の設計はできないが見た目を変えることはできる。初めてのことでワクワクした」と振り返る。発想の源は、1995年にサッカー・ヴェルディ川崎(当時)のユニフォームのデザインを担当したことにある。「ユニフォームを着た選手が乗るバスのデザインもしたんです。バスが停まっているだけで選手がいると思っちゃう。まさにバスがユニフォーム。バスにユニフォームを着せたような感じになるようデザインした。すると選手が乗っていなくてもみんな記念撮影する。それからですね」。

 そして緑のクレーン車が誕生した。建設業に興味・関心がない人も振り向くようなデザインのクレーン車。オペレーターにとっても安全に対する意識がさらに高まり、技術の向上につながった。イベントなどで展示する機会もあり、子どもだけでなく大人も列を作る。「ここでハマってもらいます」と濱中さん。コシノさんも「モデルを乗せて御堂筋を走ればどれだけ評判になるかと思っているが、なかなか許可が取れない」と笑う。

 カッコイイ重機に乗って、ユニフォームを着て作業することで、現場で働く人の誇りがより高まっている。まさにデザインと現場の交差点。そこからさらに道がつながっていく。

左から: 株式会社ハマテック・濱中朋弘さん、コシノジュンコさん、株式会社たまゆら 岡本哲さん 番組進行役・タケモトコウジさん
左から: 株式会社ハマテック・濱中朋弘さん、コシノジュンコさん、株式会社たまゆら 岡本哲さん 番組進行役・タケモトコウジさん(タケモトさんはMr.JUNKO WORK WEARを着用)

※この記事は、ラジオ関西『カタチにするチカラ~デザインと現場の交差点~』2025年8月9日(土、18:00~19:00)放送分を基に再構成しました。

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