神戸市は市営地下鉄海岸線の駅に若手アーティストの作品を展示する「KOBE SUBWAY MUSEUM PROJECT(コウベ サブウェイ ミュージアム プロジェクト)」を8月からスタートさせた。通勤や通学で駅を利用する人々に気軽にアートに触れてもらおうとの新たな取り組みで、展示作品はオンラインで購入でき、作者の支援にもつなげたい考えだ。
神戸市営地下鉄海岸線は2001年開業。三宮から新長田までを10駅約15分間で結ぶ。ハーバーランドやノエビアスタジアム神戸など乗降客が多い駅もあるが、開業以来黒字になったことがなく、2024年度末までの累積赤字は1175億円を超える。神戸市の久元喜造市長は、今回の取り組みを同線で実施するねらいについて「海岸線を活性化させるとともに、まちなかのアートシーンを増やしたい」と説明する。


「KOBE SUBWAY―」は駅構内のショーケースや壁面などを活用、各駅に海岸線のシンボルカラーであるブルーでデザインした展示スペースを設け、小さな美術館のようにしつらえる。駅ごとに多彩な作品を置き、展示替えは2か月おきのペース。作品橫のQRコードからオンライン購入することもでき、価格はおおむね10万円以下。作者は神戸ゆかりの若手アーティストが中心で、作品の販売を通して作者への支援も図る。鳥瞰図で有名な青山大介さんの作品もお目見えする。
8月、ハーバーランド駅で銅版画家・山口啓介さんの作品展示を始めたのを皮切りに、9月中旬には三宮・花時計駅、旧居留地・大丸前駅、中央市場前駅、新長田駅にも開設。和田岬駅など残りの5駅も2026年度中に“ミュージアム化”する。
久元市長は定例会見で「地下鉄通路などで作品が自然と目に入り、『これ何?』みたいな感じで鑑賞してもらえたら。若手アーティストの皆さんにさらに上を目指すチャンスも提供したい」と話した。





