新進気鋭の映像作家でもあり映像制作会社「KOHSAKA Pro」の代表を務める上坂龍之介さん。学生時代から映画制作に関心を持ち、制作会社勤務を経て独立後、映像業界で実績を積みながら30歳を目前に映画監督としてデビュー。ことし5月に開催された中之島映画祭にて、脚本・監督を手がけた映画『レンタル家族』がグランプリを受賞し、注目を集めています。

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「小学生の頃から映画監督になりたいと思っていた」という上坂さんは、18歳で上京し大学に入学。卒業後は制作会社に就職したものの、1年で退職します。「独立するために会社を辞めたのに、生きるためのお金を稼ぐことに必死で夢を忘れていた」と振り返ります。
転機となったのは、28歳のとき。父方の祖父が亡くなったことでした。「映画監督になった姿を見せられなかったので『何のために東京に行ったんだろう』『やっぱり映画監督になりたかったよな』と思って。でも今から助監督をやるわけにもいかないし、『じゃあもう自分で映画を撮ろう』と思ったんです」と当時の心境を明かします。
デビュー作『レンタル家族』は、シングルマザーが主人公。彼女がレンタルサービスを通じて“疑似家族”を形成し、家族や人とのつながりを見つめ直す物語です。登場人物の名前には上坂さんの身近な人々の名前を用い、それぞれの人物像もその人のイメージを活かして作り上げたといいます。
「実在の人間をイメージしているので登場人物のキャラクター像がブレないんです。少しでもブレる台詞や行動があると、観る人が一気に冷めてしまう。だから、自分が悩んだ時は『この人(実在の人物)だったらどうするかな?』と考えます」(上坂さん)
同作品は、ドイツ・ハンブルク日本映画祭にもノミネートされるなど、国内外で高い評価を得ています。「映画を観た方が、家族だけでなく、人と人とのつながりや向き合い方について、少しでも前向きに考えてもらえたら嬉しいです。僕の映画のベースには『人の優しさを信じたい』『人を諦めない』というテーマがある。それを観客の皆さんが感じ取ってくれるとうれしいです」と上坂さん。
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今作に続き、既に動き出している作品があると話す上坂さん。「人とのつながりを大切にしながら、これからも多くの人に映画を届けていきたい」と、今後の活動への意欲を見せていました。
※ラジオ関西『としちゃん・大貴のええやんカー!やってみよう!!』2025年8月18日放送回より






