兵庫県の斎藤元彦知事が11日、ラジオ関西の生放送番組に出演し、近年の異常気象による災害に備えた森づくりの重要性について語った。

9月初めには台風が接近し、兵庫県内は大きな被害はなかったものの、静岡県では突風による被害が出たばかり。全国的には線状降水帯などによる豪雨災害が頻発していることから、「森は木が根を張ることによって保水力が高まり、土砂災害を防ぐ力がある。しっかり管理することで災害対策につながる」と森林の必要性を強調した。
兵庫県の約70%は森林に覆われており、そのうち4割はスギやヒノキを中心とした人工林、残り6割はかつて薪や炭を採取してきた里山の広葉樹林になっている。適切に整備された森林は、保水力の向上により洪水や土砂災害を防ぐだけでなく、川や海の恵みへとつながり、CO₂吸収や生物多様性の保全にも寄与する。
県では県民緑税を活用し「災害に強い森づくり」を推進している。整備地では豪雨時の大きな被害を防ぎ、土砂流出の抑制効果も確認されているという。

一方で、手入れ不足の人工林や野生動物による被害など新たな課題も浮上している。県は「オール兵庫」での取り組みを掲げ、県立森林大学校生や高校生、森林保全に携わる人々とともに未来の森づくりを議論するシンポジウムを開催。森への関心を広げる活動にも取り組んでいる。
しかし、林業人材の不足は深刻化している。「森林王国」の宍粟市にある兵庫県立森林大学校は、西日本で唯一、森林や木材に関する専門知識を学べる専修学校として人材育成を担っているが、今春の入学者は1人にとどまっている。このため秋の追加募集を始めており、来春の入学希望者も含めて人材を募っている。斎藤知事は「森に興味がある若者に来てほしい」と呼びかけている。







