「歴史動いた」と話題 2つの学校を50年隔てた“ベルリンの壁”的存在 一部取り壊しに【兵庫姫路】 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「歴史動いた」と話題 2つの学校を50年隔てた“ベルリンの壁”的存在 一部取り壊しに【兵庫姫路】

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 兵庫県姫路市にある「淳心学院中学校・高等学校」は、カトリックの教えを大切にしている完全中高一貫の男子校。1学年3クラスしかありませんが、生徒同士や教師との距離が近いことが強みです。ことし8月末、同校にまつわる「あるニュース」が世間の注目を集めたといいます。詳しい話を広報部部長の宮崎裕介さんに聞きました。

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 件のニュースとは、隣の「賢明女子学院中学校・高等学校」との間に建っていた大きな壁(=ブロック塀)が取り払われたこと。この壁は約50年前に突如現れたといいます。

「当時、その状況を目の当たりにした賢明女子学院のOG会長によると『夏休みが終わり学校に登校したら壁があった。急な出来事にびっくりした』とのこと。私が当校に来たのは20年前ですが、その時には壁があることが当たり前でした」(宮崎さん)

発砲スチロールでできたブロック塀を倒す瞬間(画像提供:淳心学院中学校・高等学校)

 壁を壊すきっかけは賢明女子学院の校長が替わったことにあります。「学校方針が変わり、3年ほど前から文化祭をはじめとした学校行事を合同で行う機会が増加。さらにことし4月には教育連携を結びました。授業に使う道具を賢明から借りる機会も多くなり、塀の存在の『不便さ』が増していったのです。そこで、7月24日から賢明側の判断で取り壊しがスタートしました」と宮崎さん。

 取り壊しの当日は「ブロック塀一部撤去セレモニー」を行い、両校合わせて10名ほどの生徒が出席。淳心側の代表生徒が1つのブロック(あらかじめ発泡スチロール製に変更されていたもの)を金づちで倒し、工事のスタートを切りました。当日中に撤去すべきブロックは全て回収し、その後はスライドゲートの取り付けに着手。8月末に作業が完了しました。今後、学校行事などを通じて生まれるであろう「ゲートの意味」に各所から期待が集まっているそうです。

ブロック塀を一部撤去し、新たに建設されたゲート(画像提供:淳心学院中学校・高等学校)

 両校の卒業生からの反響も続々と届いているとか。SNSには「歴史が動いた!」「僕らのベルリンの壁がついに」「越えられない壁だと思ってました」など、多数のコメントが寄せられているそう。この状況について宮崎さんは、「とても象徴的な出来事だと感じています。精神的にも物理的にも両校の親和性が深まったのでは」とコメントしました。

「ブロック塀一部撤去セレモニー」の様子(画像提供:淳心学院中学校・高等学校)

 同校と地域の関わり方について聞くと、宮崎さんは次のように説明。「探究活動に力を入れています。外部コンテストである『クエストカップ』には毎年出場し、全国優勝を果たしたことも。この経験を地元の小学生に当校の生徒らがプレゼン。こうした実践が地域連携につながっています」。

 姫路市が積極的に実施している海外交流も大切にしており、留学した生徒が体験談を市民に話すことで地域貢献にも取り組んでいるとの事です。

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 数年後に開校75周年を迎える同校。節目に向け、「日本でこの学校だけしかやっていないこと」を増やしていこうとしています。すでに「全授業の録画をすべてアーカイブで閲覧可能(視聴期限は授業当日~1年後)」というシステムを構築しており、このような取り組みをどんどん広げていきたいそう。宮崎さんは「勉強だけでなく、自分の興味に合わせて様々なことにチャレンジできる環境が整っている学校」と同校の魅力を述べ、インタビューを締めくくりました。

(取材・文=長塚花佳)

※ラジオ関西『Clip』水曜日 2025年9月17日放送回より

校庭から姫路城を見ることができる(画像提供:淳心学院中学校・高等学校)
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