自然との調和、永遠なる道、鼻の穴に広がる宇宙まで 神戸六甲ミーツ・アート 見どころ紹介【2】 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

自然との調和、永遠なる道、鼻の穴に広がる宇宙まで 神戸六甲ミーツ・アート 見どころ紹介【2】

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 ある山荘の敷地内に小谷元彦の「孤島の光 (仮設のモニュメント7)」がある。一見、女性が横たわる古典的な彫刻だが、顔の上半分が崩れたような造形で、頭部に青い鳥、体には青いチョウがとまり、独特な雰囲気を漂わせている。体全体からあふれる水の表現は、浄化を意味しているという。家族が集った時間が過ぎ去り、静寂の時を迎えた空間に寄り添う、神秘性をたたえた作品だ。

小谷元彦「孤島の光 (仮設のモニュメント7)」

■みよし観音エリア/六甲ガーデンテラスエリア
 みよし観音エリアに入ってすぐに目に飛び込んでくるのは、額にいくつものしわを刻んだ巨大な高齢者の頭部(の立体作品)。そのタイトルも「じいちゃんの鼻の穴に宇宙があった。」とインパクトが大きい。「昼寝をしているじいちゃんの鼻の穴をのぞいたら宇宙が見えた」というコンセプトの作品で、作者は佐藤圭一。横たわった頭部の近くに寄り、どうしても鼻の穴をのぞきたくなる衝動にかられる。穴の中にはたしかに「宇宙」が広がっている。一見の価値あり。

 少し小高い場所に進むと、インフィニティの形に石が敷き詰められている。山田愛の「永遠なる道」は、かつて別荘があった地につくられた。石は瀬戸内海で産出されたサヌカイト。サヌカイトは1300年前に生まれ、石器としても利用、人類が生命をつなぐ道具として重要な役割を果たしてきた。作品の上を歩くと音が鳴り、悠久の時間のほんの一瞬、私たちが存在していることを実感させてくれる。

佐藤圭一「じいちゃんの鼻の穴に宇宙があった。」
山田愛「永遠なる道」

 屋外のモニュメントや街灯などを取り込んだ部屋をつくり、リビングルームとして公開するなど、公共空間を舞台とした大胆な作品で世界的に知られる西野達。西野は今回、2つの作品を手掛けた。1つは六甲山の一角に置き去りにされた古い電灯を利用、一時的に車道の真ん中に移動させて歩道を歩く人を照らすように設置した作品。もう1つは横断歩道に頭部と脚、尻尾を描き足してシマウマに見立てたもの。「独り立ち」「逃げたくても、逃げられやしない」と題した両作だが、安全上、すぐに作品を撤去しなければならなかったため、写真パネルでの展示となっている。

西野達「逃げたくても、逃げられやしない」(左)、「独り立ち」(右)

【3】に続く

◆「神戸六甲ミーツ・アート2025 beyond」
開催地 六甲山上の各エリア(神戸市灘区)
会期 2025年8月23日(土)~11月」30日(日)
鑑賞パスポート(山上窓口で販売) 昼夜パス 中学生以上4000円、4歳~小学生1700円ほか
※光のアート作品を楽しめる夜間イベント「ひかりの森~夜の芸術散歩~」が9月20日(土)から会期中の土日祝日、ROKKO森の音ミュージアムと六甲高山植物園で開催される。時間は17:00~20:00
問い合わせ 神戸六甲ミーツ・アート事務局 電話078-891-0048(平日10:00~17:00)

神戸六甲ミーツ・アート2025 beyond 公式HP beyondhttps://www.rokkomeetsart.jp/

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