若者に“人生を動かす本”との出会いを届けようと、兵庫県は、移動式図書館「兵庫県 旅するキッカケ文庫」の運用を20日(土)からスタートさせる。県ゆかりの著名人らが選んだおすすめの本を専用のバスに積み込み、2026年3月まで県内各地を巡回する企画。県が進める「若者・Z世代応援パッケージ」の一環で、県担当者は「本との出会いによって将来の選択肢を増やしたり、新たな可能性に気付く“キッカケ”になれば」とねらいを語る。

専用バス内には、県ゆかりの著名人ら約50人が選んだ「人生の転機となった本」がずらりと棚に並び、それぞれに選者のメッセージが添えられている。俳優の南野陽子さんはお気に入りの小説に「人にどう思われるかという恐れ。そんな不安があるときに」との言葉を寄せた。そのほかタレントの山之内すずさん、フリーアナウンサー・俳優の宇垣美里さん、落語家の桂文珍さん、阪神タイガースの近本光司選手がチョイスした本も。
本の中には「キッカケの一文」と書かれた付箋が貼られ、選んだ人が印象に残った箇所がマークされている。その箇所を読むだけで、物語の世界観や本が選ばれた背景に触れることができる。また“発信”の手段として、ノート「みんなのバトン書簡」も設置、「アナログなSNS」感覚で利用者同士の交流を図る。


18日、神戸ポートタワー(神戸市中央区)前で開かれた発表会には、兵庫県の木村晶子理事(若者・Z世代応援等調整担当)、同企画のアンバサダーに就任した山之内すずさん(神戸市須磨区出身)が参加。木村理事は「今回の新たな試みを通して若い方とリアルに交流し、県が若者をしっかり応援していくことを伝えていきたい」とあいさつした。

読書好きの山之内さんは、この1か月で30冊ほど新しい本を購入したという。「小さいころ、母が読んでくれた絵本が大きく影響していたり、思春期に出会った本によって自分の核の部分が定まったかなと感じている。人生においてお守りみたいな本が何冊かあるとそれだけでちょっと安心できる」と話し、Z世代に向けて「1人1人違う悩みを抱えていると思う。SNSからいろんな言葉が入り込む時代だが、だからこそ、自分自身の心と向き合う時間を何より大事にしてほしい。1つの手助けになるのは、苦しさを言語化してくれる本だと思うので、しんどい時こそ、いろんな本を読んでほしい」と呼びかけた。






