10月13日まで開催中の「大阪・関西万博」。日本を含む158の国と地域・7つの国際機関が集い、パビリオン(展示館)を通して世界各国の文化や歴史を発信しています。今回はヨーロッパのオーストリアに注目し、同国ならではの文化を紹介します。
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オーストリアパビリオンは、螺旋状の形をしたオブジェが特徴的。同国といえば「音楽の都」として知られており、モーツァルトやシューベルト、マーラーといった偉大な音楽家たちを多数輩出。同館のテーマも「オーストリア:未来を作曲」となっており、このオブジェは楽譜をモチーフにしているのだそう。

食文化も豊かなオーストリアは“酒を楽しむ文化”が生活に根付いており、「ホイリゲ」と呼ばれるワイン居酒屋がユネスコ文化遺産に登録されるほど。同国の情報発信サイトを運営する御法川さんによると、「乾杯するときには『Prost(プロースト)』『Zum Wohl(ツム ウォール)』と口にするのが浸透しています。これ自体は日本の『乾杯』に近いものです」とのこと。そして、その際にともなう独特のルールやマナーも存在するとか。

「乾杯する相手とは、必ず目を合わせることがマナーです。日本の乾杯では強制されることのない行為ですが、オーストリアでは非常に重要視されています。その場に居る一人ひとりと必ず目を合わせ、杯を持つ腕を掲げて『プロースト』と言い合うのです」(御法川さん)

ちなみに、他者が乾杯している間に割り込むのはタブー。「待つ」もしくは「近くの人から順番に乾杯する」というのが同国の流儀だとか。また、離れている人との乾杯は無理に行わず、グラスを少し持ち上げて頷くジェスチャーで代用します。特にフォーマルな場ではグラスを合わせずジェスチャーだけで済ませる事が多いようです。
その他のマナーとしては、「相手がなぜそのドリンクをオーダーしたのか、いちいち理由を聞かない」「店員を呼ぶ時に手を高く挙げるのはNG」「大声で店員を呼びつけるのはNG」などがあるそうですよ。
(取材・文=つちだ四郎)

◾︎御法川さんが運営するオーストリアの情報サイト『ちょっとオーストリアに行きたいんだけど』





