そのころの傑作で、本展の目玉作品が「夜のカフェテラス(フォルム広場)」(1888年)だ。明るい青色の夜空には大きな星がまたたき、その下には人々が集うカフェがガス灯に照らされ黄色く輝いている。西洋絵画において、それまで夜景は黒色系で表現されてきており、ゴッホの青い夜空はきわめて斬新であった。青色と黄色のビビッドな対比は、画面全体に華やかさと高揚感、奥行きをももたらしている。ゴッホは実際に夜の街頭に立ち、見たままを描画したという。同作の来日は約20年ぶり。

展示を担当した塚原晃学芸員は「ゴッホは、アルルで次々と画家としての新境地を切り拓いた。夜景に対する特別な思いと大胆な試みが生み出した『夜のカフェテラス』は、彼の短い生涯で最も幸福な時期を象徴する作品」と位置づける。油井洋明館長は「ゴッホはいろいろな困難に直面しながらも、絵画芸術の中に幸福と希望を追求していた。展覧会でゴッホの人生に思いをはせてもらえたら」と話した。
同展は神戸市立博物館の後、福島市の福島県立美術館(2026年2月21日~5月10日)、東京都台東区の上野の森美術館(2026年5月29日~8月12日)に巡回する。また、神戸市立博物館では、ゴッホの画業後半生を特集した「大ゴッホ展 アルルの跳ね橋」(2027年2月6日~5月30日)も開く。その後同様に福島県立美術館、上野の森美術館で開催される予定だ。
◆特別展「阪神・淡路大震災30年 大ゴッホ展 夜のカフェテラス」
会場 神戸市立博物館(〒650-0034 兵庫県神戸市中央区京町24)
会期 2025年9月20日(土)~2026年2月1日(日)
開館時間 9:30~17:30 金・土曜日は20:00まで(いずれの日も展示室への入場は閉館30分前まで)※土日祝は入場予約優先制
休館日 月曜と12月30日(火)~1月1日(木・祝) ※月曜が祝日または休日の場合は開館し、翌平日に休館
観覧料 一般2500円、大学生1250円、高校生以下無料





