あるとき、河川敷を歩いていましたら、なにやら赤紫色をしたようなかたまりがそこらじゅうにあるのを発見しました。
緑色の草とは対照的な色なのでかなり異質に見えたため、そばに寄ってみました。
それらは丸みを帯びていて、直径12センチ、高さ10センチくらいというまあまあな大きさで、上の部分が少しふくらんでいるような……。感触は、パンケーキのようにフワフワしているんです。

よく見りゃあ、ボコボコとした不気味な模様のようなものが。恐る恐る指でツンツンしてみると、その物体と同じような赤紫色をしたケムリのようなもんがモフモフと出てくるやないですか……。
「うわ! 気持ちわる!」
この物体はなんやろと思てたところに、「それはキノコやで」と、私の様子を見ていた人が言いました。
これ、キノコ? 確かに、根本よりも上が膨らんでいるようなカタチでキノコっぽいとは思いましたけど、この不気味さとカタチ、どっかで見たことがある……。
すると声をかけてきた人が言うんです。「まるで、ドラクエのマージマタンゴみたいやろ」と。

かなりマニアックな例えですが、「確かにドラクエに出てきたなあ、この色〜。このカタチ〜」。
そうなんです、ドラゴンクエストに出てきた敵キャラです。もしかしたら、マージマタンゴのモデルになったキノコちゃうか!? と、思うほどでした。
その方にもう少し詳しく教えてもらいました。このキノコの名前は「スミレホコリタケ」だそう。最初はもっと白っぽい色をしているのですが、だんだん茶色っぽくなってきて、最終的に赤紫のスミレ色になるのです。
さっきツンツンしたときにモフモフと飛び出してきたケムリみたいなもんは、このスミレホコリタケの胞子やそうです。この胞子が飛んでいってどこかの土の上に着床し、そこからまたキノコが生えてくるのだとか。







