兵庫県の斎藤元彦知事が9日、ラジオ関西の生放送番組に出演し、全国でクマによる人への被害が多発していることを受け、兵庫県内にも約700頭のツキノワグマが生息していることから、県民に注意を呼び掛けた。

斎藤知事によると、兵庫県はクマの研究が全国でもトップクラスといい、森林動物研究センターで個体の管理などを通じて、人とクマとのすみ分けによる共存を目指している。
しかし、最近は気候変動でクマのエサとなるドングリが減っていることに加え、クマの生息する山と人が住む人里との間に緩衝地帯としてあった「里山」の手入れが不十分となって、人里に近づくクマが増えているという。
兵庫県は9月19日にツキノワグマ対策連絡会議を開催。関係機関が連携し、短期・中長期的な被害防止策の確認と、住民への注意喚起を行った。クマを「寄せ付けない」環境づくりが鍵を握っており、生ごみは野外に捨てない、収穫した農作物は屋内に収納する、不要な果樹は早めに収穫・伐採する、などの対策を挙げている。
ハイキングなどで山林に行く機会が多くなる秋は、クマが冬眠前のエサを求めて活動が活発化するシーズンに重なる。クマは本来警戒心が強く人を避ける習性だが、至近距離で不意に出会うと、クマが防衛行動を起こし被害につながる可能性がある。
知事は「クマと遭遇しないようにすることが重要。クマは音を怖がるといいます。ラジオや鈴を持っていき、人の存在をクマに伝え、出くわさないようにしてください」と呼び掛けた。








