閉幕間近の大阪・関西万博に「ひょうたんミャクミャク」姿の女性が現れた。
天然素材のひょうたんに、公式キャラクター「ミャクミャク」をデザインしたかぶり物、目玉模様のたすき……すれ違う来場者から「一緒に写真撮って下さい!」とオファー多し。

この女性は、岐阜県養老町で「ヨーローヒョウタン工房」を主宰する竹内蘭さん。自らを『ひょうたんマダム』と名乗り、大阪・関西万博公式ライセンス商品「ひょうたんミャクミャク」まで作った女性だったのだ(現在は完売)。

竹内さんが住む岐阜県養老町はその昔、親孝行息子の美しい心が滝の水を酒に変えたという親孝行伝説(養老の滝伝説)が残る歴史深い町で、シンボルにひょうたんを掲げている。
大阪といえば豊臣秀吉の象徴もひょうたん。
会期中は3回来場。「さまざまな国の方とも交流できたことは大きな経験。また、いつもパビリオンスタッフや警備員、バスの運転手さんまで温かく声をかけてくれたことや、それぞれがお仕事を楽しみながら向き合う姿に心打たれました」という。
かつては養老町の観光みやげとして求められたひょうたん。時代の変化とともに需要がなくなり、町のシンボルでありながら栽培加工者が減り続けたため、伝統文化としての継承が難しい状況になったという。
そこで竹内さんは「細々とでもこの地域工芸を守り、次世代へ伝えたい」との思いでひょうたん栽培と加工の道へ入った。かれこれ14年。
「周りからは『いまどき、ひょうたんなんて仕事にならない』と反対されたが、ひょうたんを素材にアート作品を作ったり、みやげ用の雑貨を作ったりと、ひょうたん文化を伝える「ひょうたんマダム」として活動を続けるようになった」と振り返る。
そうこうしているうち、大阪・関西万博のロゴやキャラクターデザインが発表され、「これはひょうたんで商品化できそう」と思い、2年の準備期間を経て公式グッズを販売するまでに。


竹内さんは。「豊臣秀吉の馬印は千成ひょうたんでもあり、土から生まれて土に還る優しさ、一つとして同じ形のない個性豊かな素材の面白さ、日本の地域に根付いた”ものづくり”の精神を伝えるのに、大阪・関西万博はとても良い機会だと思った」と話す。







